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「ミックス。」 (2017年 日本映画)

2017年11月08日 | 映画の感想・批評


 卓球といえば、小学生のころ、「ピンポンしよう!」と言いながら、休み時間に友達と遊んだ記憶がある。厳しく鍛えられるスポーツというより、誰にでもできる手軽な遊びというイメージが強かった。しかし、近年の日本選手の大活躍により、今では過去最大のブーム到来ともいえるほどのメジャーな種目として注目されるように。そして、卓球を題材にした、こんな新感覚のロマンティックコメディが誕生した。
 主人公の多満子は、卓球クラブを経営していた母のスパルタ指導を受け、かつては天才卓球少女として将来を期待されていたが、母の死後は卓球への情熱も薄れ、ごく普通の人生を送っていた。しかし、勤め先の卓球部のイケメンに裏切られ、逃げるように故郷に帰ってきたのだが、かつて隆盛を誇った卓球クラブも、今は活気を失い、わずかに残ったメンバーたちはわけありばかり。そこに妻と娘に見捨てられた新入部員・萩原が入部してきて…。
 多満子を演じるのは、昨年TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で大ブレイクした新垣結衣。この人のすごいところは、見るものの心をとらえて離さない魔力みたいなものが存在すること。感情表現はそれほど濃くないのだが、ずっといつまでも見続けていたいという気になってしまうから不思議だ。デビュー以来もう16年もたつのに、新鮮さを失わず、みんなからガッキー!と親しく呼ばれているのもその表れだろう。彼女と男女混合(ミックス)ダブルスを組む新入部員に扮する瑛太にも同じような力がある。さらに二人にかかわる共演陣が豪華で、それぞれのキャラクターにぴったりはまっていて何とも微笑ましい。特に四川料理店の店員に扮する蒼井優には、思わず「チョレイ!!」
 監督は「リーガルハイ」シリーズなどの演出で注目された石川淳一。映画は「エイプリルフールズ」に続き2本目だが、テレビドラマで培った演出力は確か。だれもが気軽に始められるピンポンのように肩ひじ張らずに楽しめ、清々しい感動も味わえる作品に仕上げた。撮影はあの名作「ピンポン」を手掛けた佐光朗が担当しているのも吉。対戦場面も結構リアルで盛り上がる。ちょっと息抜きがほしいなと思った時にぴったりの作品だ。
 (HIRO)

監督:石川淳一
脚本:古沢良太
撮影:佐光朗
出演:新垣結衣、瑛太、広末涼子、瀬戸康史、蒼井優、真木よう子、遠藤憲一、田中美佐子、小日向文世、吉田鋼太郎、斉藤司


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