ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産婦人科と漢方医学

2008年10月14日 | 東洋医学

産婦人科医は、他の科の医師と比べて、漢方に興味を持っている者が比較的多い方だと思います。例えば、更年期障害、月経困難症、冷え症、不妊症、妊娠中の感冒や花粉症、抗癌剤の副作用対策など、産婦人科医が漢方薬を処方する機会は意外に多くあります。産婦人科では、もっぱら漢方医学のみを実践している純粋の漢方医はさすがに少ないですが、通常の現代医学的な診断や治療に加えて、その足りない部分を漢方医学で補うというスタンスの医師は比較的多いと思います。

月経異常、更年期障害などの婦人科特有の症状を訴える患者さんに対してよく処方される漢方薬の代表格(3大婦人薬)は、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散です。当帰芍薬散は比較的体力が低下し冷え症がみられる者、桂枝茯苓丸は体力中等度で下腹部の抵抗・圧痛を認め、いわゆる瘀血(おけつ)の腹証がみられる者、加味逍遥散は精神症状、発汗・ホットフラッシュなどの症状がみられる者に多く用いられます。

また同じ感冒でも、症状によりいろいろな使い分けがあります。例えば、感冒の初期で発熱があり、まだ自然発汗が認められない時期は葛根湯が用いられ、鼻閉、鼻水、痰などが主症状であれば小青竜湯や苓甘姜味辛夏仁湯、発作性の激しい咳の場合は麦門冬湯が用いられます。インフルエンザには麻黄湯が有効です。

私がよく処方する漢方薬: 加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、温経湯、女神散、桃核承気湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯、葛根湯、小青竜湯、麦門冬湯、麻黄湯、桂枝湯、苓甘姜味辛夏仁湯、香蘇散、猪苓湯、大建中湯、牛車腎気丸、柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、抑肝散、呉茱萸湯、防風通聖散、防已黄耆湯、清上防風湯、半夏瀉心湯、温清飲、釣藤散、芍薬甘草湯、柴苓湯など。

女性のための漢方セミナー 気になる不調、これって更年期? (毎日新聞)

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