ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新生児蘇生法「専門」コースインストラクター養成講習会

2010年07月21日 | 周産期医学

当院では、新生児に何か異変があれば、新生児科の先生方が分娩室までいつでもすぐに駆けつけてくださるので、産科医は母体と胎児だけ診てれば済む非常に恵まれた環境にあり、今まで産科医側は新生児蘇生に関してほとんどノータッチでした。しかし、最近、当院の分娩件数がやたらに増えてきて、同時に何件もの分娩が重なる事態も日常茶飯事となり、新生児科の先生方が到着する前に、産科医や助産師も新生児蘇生を開始できるようにしておく必要があると、遅ればせながら実感するようになってきました。

そこで最近、新生児蘇生法「専門」コースインストラクター養成講習会(定員40人、神戸、7月12日)を受講しました。講義と少人数グループでの手技の実習があり、プレテストとポストテストがありました。講義は田村正徳先生が担当され、手技実習は8人の小グループに分かれて実施されました。手技を指導してくださったインストラクターは、ベテランの新生児科の先生方でした。受講生の多くが地域の新生児医療を担っているNICU勤務のベテランの先生方でした。

日本周産期・新生児医学会主催の新生児蘇生法「専門」コースインストラクター養成講習会は、受講希望者が多いため申し込んでもなかなか受講できないそうですが、今回、たまたま受講できるチャンスに恵まれたので、以前からただ持っていただけでほとんど一行も読んでなかった新生児蘇生法テキストを、初めて繰り返し何度も読みました。いざという時に新生児蘇生を開始できるようになるためには、何をするのか頭でいちいち考えなくても、その場の状況に合わせて脊髄反射で手足が勝手に動くようになるまで、トレーニングを繰り返していく必要があります。常日頃トレーニングを繰り返しておかないと、いざという時に体が動いてくれません。

今後は当院でも、新生児科の先生方の御指導のもと、産科医、助産師、NICU看護師、初期研修医、医学生、助産学生などを対象に、新生児蘇生法講習会を頻回に(できれば毎月)開催したいと思います。また、今年の10月に新生児蘇生法の国際基準が5年ぶりに大幅改訂され、日本版の新生児蘇生法ガイドラインもそれに合わせて近日中に大幅改訂されるそうなので、新生児蘇生法のガイドライン改訂の情報を、公表され次第なるべく早く入手したいと思います。