ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

黄体(corpus luteum)

2020年07月29日 | 生殖内分泌

黄体形成
排卵後の卵胞は黄体(corpus luteum)となり、プロゲステロンエストロゲンを分泌する。

黄体退縮
妊娠が成立しなければ、黄体は約14日で退縮する。黄体後期にプロゲステロン産生が低下し黄体細胞のアポトーシスが起こる。黄体が退縮し白体(corpus albicans)が形成される。

妊娠黄体(corpus luteum of pregnancy)
妊娠が成立すると、将来胎盤を形成するようになる絨毛組織からhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が分泌される。hCGがLH/FSH受容体を介して黄体のプロゲステロン産生を促進し、黄体機能の延長を起こす。黄体は妊娠黄体として妊娠12週頃まで存在し、プロゲステロンを分泌し続ける。


   妊娠黄体

参考記事:
卵胞発育
卵胞におけるエストラジオールの産生
排卵(ovulation)
月経周期とホルモンの変化
黄体機能不全
天然型プロゲステロン製剤

参考Webサイト:不妊College(データに基づく不妊治療の基礎知識)、フェリング・ファーマ株式会社

参考文献:
1)データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017
2)基礎からわかる女性内分泌、百枝幹雄編、2016


排卵(ovulation)

2020年07月29日 | 生殖内分泌

卵丘細胞・卵子複合体
COC : comulus oocyte complex

成熟卵胞に向かって数十個の卵胞が発育していくが、通常、1回の排卵タイミングで排卵できるのは1個の卵胞のみでこれを主席卵胞という。主席卵胞以外の残りの数十個の発育途中の卵胞は閉鎖卵胞となる。

主席卵胞から産生されるエストラジオールが増量して、200~400pg/mlに達した時点でポジティブフィードバックによるLHサージが起こる。排卵前に卵胞内では卵丘細胞と顆粒膜細胞に解離が起こり、卵丘細胞・卵子複合体(COC)が卵胞液内に浮遊する。卵胞壁はプロスタグランジンの作用により平滑筋が収縮して卵胞内圧が上昇し、産生されたプラスミンの影響で卵胞壁が菲薄化し破裂する。排卵により卵丘細胞・卵子複合体(COC)が腹腔内に放出され、その後卵管内に入る。

排卵の起きるタイミングLHサージの立ち上がりから30~36時間後エストラジオールのピークの24~28時間後LHサージのピークの12~18時間後に起こる。

参考記事:
卵胞発育
卵胞におけるエストラジオールの産生
月経周期とホルモンの変化
排卵日推定法

参考Webサイト:不妊College(データに基づく不妊治療の基礎知識)、フェリング・ファーマ株式会社

参考文献:データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017