人生七十年時代では、多くの人は60〜65歳まで働いて、退職後の人生の残り時間は十年程しかありませんでした。その頃は百歳まで生きる人は非常にまれでした。
人の寿命は10年毎に2~3年伸びていて、現在の60~65歳の男性の半数は90歳を超えるまで生きると見込まれますので、定年退職後に多くの人の寿命はまだ30年以上残っていることになります。今後の超長寿社会では、従来の個々の常識的な人生設計は全く通用しなくなり、国も人も今後の急激な構造変化に対応していく必要があります。
私の親の世代では、一人の退職後世代の生活を十人の就労世代が支えていました。ですから、定年退職後はそんなに貯蓄がなくても公的年金だけでも死ぬまで十分に生活できる計算が成り立ってました。しかし、寿命が伸びて誰でも百歳まで生きることが当たり前となり、出生率がどんどん下がっていく結果として、人口全体に占める65歳以上の高齢者の割合は今後も年々増えていき、社会を支える就労世代の割合はどんどん減っていきます。この現在進行形の人口構造の劇的変化によって、私の親世代の「60〜65歳まで働いて、引退後はそれまでの貯蓄と公的年金で死ぬまで悠々自適に暮らす」という常識的な人生設計パターンが、私の世代では全く成り立たないのは当然です。私の子供の世代や孫の世代では、人口や社会の構造変化がますます顕著となります。
親世代の人生設計の常識は子や孫の世代では全く通用しません。これまでの常識にはとらわれず、百年時代の人生戦略を練り直す必要があります。
audiobook.jp:朗読 北林きく子(13時間49分)
audible:朗読 中村 悦子(13時間22分)