ボルボ・オープン70の秘密-その2

2006年02月18日 | 風の旅人日乗
2月18日 土曜日。

これは何のシステムでしょうか?
ボルボ・オープン70クラス唯一のオーストラリア艇『ブルーネル』のデッキで見つけた不思議なもの、その2です。

答えは、ジブのリード・システム。

ボルボ・オープン70クラスは、キールバルブ以外の重さを少しでも軽減したいためにありとあらゆる工夫がなされていますが、これもその軽量化目的。
ジブシート・カーもなければ、ジブ・トラックもありません。

リング1個、パッドアイ2つだけで、ジブシートリードのイン・アウト、アップ・ダウンが可能。よく考えれば、通常のヨットでも、このシステムでジブシートのリードを3次元でコントロールできるわけで、重量も軽くなれば、高価なジブ・トラックやジブ・カーを装備する必要がなく、経済的負担も減る。

常識を疑ってかかること。
これが、何事によらず新しい発明の第1歩ってことですね。

Feb.18 2006 ボルボ・オープン70の秘密-その1

2006年02月18日 | 風の旅人日乗
ボルボ・オープン70クラスのデッキで見つけた不思議なもの、その1です。
この、ダッフルコートのボタンのようなもの、何だと思いますか?

答えは、ジブのハンクス。

ボルボ・オーシャンレース2005-2006に参加している7隻のボルボ・オープン70クラスのうち、フォアステイにヘッドフォイルを装着しているのはわずか2隻(『ムビスター』と『エリクソン』)だけ。あとの5隻は、70フィートという大きさにもかかわらず、フォアステイにヘッドフォイルを装着していません。つまり、ジブのラフはハンクス仕様。

これらの5隻がヘッドフォイルを使わない主な理由は、重量の節約。
クラスルールで許される最大重量の中から少しでも多くをキール下にぶら下げているバルブに回したい、そして艇を少しでもパワフルにしたい、という狙いなんですね。

それと同じ理由で、リギンはステンレスなどの金属ではなく、すべてPBO。サイドステイ、バックステイだけでなく、もちろんフォアステイも、PBO。

従って、通常のヨットのような金属製のハンクスを使うと、繊維であるPBOが痛んでしまう。そのうえ、重量が嵩む、というデメリットもある。

で、写真のような、スペクトラ繊維で作ったテープと、アルミ製のボタンを組み合わせたハンクスの登場というわけです。

今回のメルボルンでは、このほかにもいろいろと、ボルボ・オープン70の写真を撮ってきていて、これからも随時紹介して行こうと思っているのですが、なんと、20日の夜から再び沖縄・慶良間諸島・座間味島で、決死のサバニ合宿1週間を敢行。
つまり、ブログの更新が滞る恐れが多大。というか、間違いなく滞ります。

座間味島では、ブログを書く時間も気力も体力もサバニに吸い取られるはずだし、宿泊先の民宿の通信環境もインターネットにはそぐわないし、また、そのこと以前に、ぼく自身、このサバニ合宿では、サバニと一体化することに全身全霊を捧げたいと思っている、という状況もあります。

多分、この季節、座間味島と渡嘉敷島の間の海峡では、クジラにもかなりの確率の高さで出会えるはず。そんなこんなで、大自然に抱かれて、インターネットの世界を忘れてしまうことになるんでしょう。

なので、環境と思考が現代社会の中にあるうちに、つまり座間味島に行く前までに、もう何点か紹介できるよう、頑張りまっす。
でも、うーん、無理かなあ。
明日は、葉山マリーナのレースだし、しかもそのあとのパーティーで飲んでしまいそうだしなあ。
うーん、やっぱり無理かなあ。
でも、もう一つぐらいは、頑張って紹介しますね。