美しくなりたいと
ただそれだけのために
天使の真似をし
自分を捨て
自分に捨てられ
無人格化していく女がいる
逃げることはできない自分を
空蝉のように脱ぎ捨て
天使の顔を着込んで
天使になろうとする馬鹿がいる
むごい真実のしっぽを
風になびかせながら
石膏で作った清らかな顔を
自分に埋め込み
自分のすべてを変えようとして
愛を消去していく女がいる
ありとあらゆるものを
失うというのに
喜々として破滅の縄をとき
自分を虚無の床に投げる
女がいる
絶対神のごとき
虚無とまぐわい
自分ひとりがうつくしい
永劫の王国を生もうとして
かすにもならぬ屁をひる
馬鹿な女たちがいる