黄昏の迷宮を
千匹の猿がさまよっている
鉄の林檎を引きずりながら
今日生まれるか
明日生まれるかわからない
運命の卵を心臓に抱いて
結末はいつも突然にやってくる
下手な芝居をしている場合ではない
運命はいつも向こうからやってくる
いやなことなど何もないはずだった
美しい自分の人生に
灰色の蠅がたかり始める
いつの間に腐っていたのか
卵が心臓の中で動き始める
あきらかにもうだめだと
卵の中から誰かの声がする
それは誰だ わからずともよい
おまえたちが落ちる予定の
暗い奈落の底に
やわらかいシーツを敷いておいてやろう
そうすれば傷も少なくて済むだろう
だが上ってくることは許されない
おまえたちは
永遠の双子の姉が支配する
何もない空っぽの星に落ちていくのだ
だれのせいだと
今更どの口がいうのか
猿どもめ
黄昏の迷宮を
千匹の猿がさまよっている
滅亡の大烏賊は都市を青い死に染め
もはや誰も元に戻ることはできない
だれもがいて だれもいない
都市の中を
千匹の猿がさまよっている
金色の星の形をした人類の勲章が
煎餅のようにもろく割れ始める
もうそろそろやめよ 猿どもよ
幕はとっくに落ちているのだ
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