アーム付きのギターはチューニングが狂い易いか?
答えを先に述べるならばNOなのだ
チューニングが狂う原因は他にあるということ
いまだにこの辺りで悩んでいる人も少なくない
先日、行きつけの楽器店に改造の依頼が舞い込んだ
ストラトのブリッジを固定して欲しいという
「アームとか使わないんでね 固定できます?」
「チューニングが安定しないんでよね ほんとに」
論点はアームの使用頻度ではないようだ
チューニングが狂う原因が『動くブリッジ』にあると思い込んでいる
良くある話なのだ
ストラト系のあるあるネタなのだ
ストラトのルックスや伝説に惹かれて欲しくなってしまうのだ
実は私もそんな一人だった
ルックスから入ったのだ
真珠のような透き通る白色に惹かれた
現在はかなり黄色くなっている
焼けた感じも悪くない
今ではむしろ、焼けた色を楽しんでいるのだ
時間の経過はお金で買えない
焼けたストラトが欲しいならば中古購入しかない
中古ギターは賭けなのだ
状態が良いギターをゲットできる保証はない
自分で時間をかけて育てることが一番なのだ
10年以上という時間を私と一緒に過ごしたという事実に萌える
私はギターに対してはLikeというよりはLOVEなのだ
ギターは応えてくれる
手持ちのギターが良い音で鳴かないのはギターや機材は悪いのではない
自分が悪いのだ
それに気づけば、ギター弾きとしての大きな一歩なのだ
次なる策を練ることも出来る
アーム付きのギターの基本は『フローティング』なのだ
ブリッジが浮いている状態が正しい
尻上がりでセットする人もいるようだが基本はボディと平行
弦の張力とスプリングの張力が釣り合うことが理想
チューニングに関する部分だけでストラトを避けているならば勿体無い
ストラトの音幅はかなり広い
多彩な音作りが可能なのだ
歪みにも良く絡む
太く甘い音もハムバッカー以上に得意だったりするのだ
ピックアップの配線改造でハム化することも一考なのだ
割と浸透している王道の改造なのだ
何本もギターを揃えられる人には無用だと思う
個人的には疑似ハムは便利だと思う
スタジオ遊びでも簡易セッションでも重宝する
レスポールを手放したことでより登場する機会も増えた
ハムをシングル化するよりもシングル系をハム化する方が良い結果が得られる
理由は上手く説明できないが・・
私の個人的な感想なのだ
もっというならば、エフェクトなどでシングルを追い込んだ方が良い気がする
ストラトでもテレキャスでもリアは意外にパワーがあるのだ
私のドラゴンなど、まさに王道のペイジサウンドが炸裂するのだ
所謂、テレキャスのオールドサウンドとはほど遠い
シングル?ハム?
イメージだけで決めつけるのは少々勿体無い
ギターは実際に鳴らしてみるべきだと思う
弾き方でもかなり音が変化する
話はブリッジに戻るが・・
ブリッジとボディの隙間に木片を挟むという改造も古くから行われている
これはクラプトンもストラトに施している改造なのだ
超一流のリペアマンが調整していることは有名な話
こんま数㎜の世界での削り出し
スプリングをガチガチに締め込んでブリッジを固定する人もいる
ブリッジがかなり尻下がりになる
サドルの溝と弦の進入角度も独特なのだ
ちなみに私はすべての方法を実際に試した
結果、ストラトはフローティングが最高という結論に達したのだ
ポイントは弦の太さなのだ
誰が何と言っても010~046が良いと思う
ブリッジを安定させるにはこれに尽きる
因みにスケール長が異なる他のギターは知らない
スプリングは平行配置の三本がけが良い
余計なことはしない方が良いということ
もうひとつ大事なことがアームの動かし方
アームで音を可変させた後に意識的にアーム(ブリッジ)の位置を中央で止めるのだ
これはアーム使いならば、無意識に行っているのだ
良く調整されたブリッジは軽く手を添えるだけで中央で止まる
この動作が安定していないギターは調整不足
ポストとブリッジの接点が馴染んでいない可能性もある
しばらく様子を見てもダメな場合にはプロの診断を仰ぐのだ
結局、木片の製作を考えていたお客さんは調整で解決したのだ
弦を適正なものに張り替えて、接点などをグリスアップ
アームの使い方を店員さんに習っていた
実はアーム(ブリッジ)は一発では決まらない
使っているうちにまた狂ってくる
その都度にドライバーでの微調整が必要になる
足繁く楽器店を訪れるのも面倒臭い
自分で調整の方法を覚えてしまった方が良いのだ
それが無理な人はレスポールのような固定ブリッジのギターに変更すれば良い
先にも述べたが・・
ブリッジが理由でギターの選択肢が減るのは勿体無い
本末転倒なのだ
シングルで良い音が出せない
可変のブリッジの調整ができない
という人がハムバッカー&固定ブリッジのギターに流れてくることも多い
実際にアーム付きのギターを使っているが間違った方法で調整している人がいるのも事実
そもそも、チューニングが微妙に狂っていることに気づかない
良い意味で音感が緩いのだ
素人さんの趣味ではそのくらいが楽しいのだ
あまりにシビアな耳を持つと耳も神経も疲れてしまう
雑なくらいで丁度良いのだ
楽器店はギターの病院なのだ
日々、難しい問題に直面しているようだ
お客さんに購入後のギターの正しい扱いをレクチャーするのも楽器店の役目
楽器店も色々と忙しいのだ
お客さんと同じ目線でギターを語れるお店は名店
『そんなことも分からないの?』
と上からの目線も少なくない
初心者や無知な人には少しハードルが高いようだ
『アームの調整も出来ない奴が買うなよ』
と心の中で思われているようで恐い・・・
私の行きつけの楽器店は本当に親切で優しい
小さな楽器店ながら常に賑わっているのだ
こんなご時世なのだ
売るべきものはギターだけだろうか?
何かを忘れている楽器店が多いのも事実
ギターは売ったら終わりではない
売った後(買った後)面倒臭い
そこをフォローできる楽器店にはリピーターが戻ってくる
商世界とはそういうものなのだ
アームの話からかなり脱線しているが・・・
アームの扱いで困ってギターを持ち込んでいるのだ
その辺りを汲むべきなのだ
今回の曲は過去に作った曲なのだ
ストラト使いの神であるジェフベックをリスペクトして作ったのだ
鍵盤もベースもすべて私による演奏
ドラムは生ドラムをMIDIで打ち込んだ
ギターはストラトを指弾きしているのだ
かなりアームを多用しているのだ
ビブラートやチョーキング的な音程変化もアームで行っている
ベック師匠の十八番的なテクなのだ
師匠は同時にボリュームやトーンなどの操作する
もはや市販の楽譜ではカバーしきれない情報量なのだ
他のギタリストでも往々にして似たようなことがある
ペイジ師匠も楽曲の途中でピックアップを切り替える
場合によるとリードプレイの途中でもピックアップを切り替える
そんなコアな情報を記載している楽譜は皆無
そもそもそんな事実を知る人の方が少ない
機材があまり充実していなかった時代に多彩な音を創出していた
何故だろうか?
それは弾き手の工夫と技術によるところ
ギターはいたってシンプルな構成でこそ活きる
色々と試した結果として基本に戻ってくるのだ
アーム付きのギターも原点に回帰する
「何でアームが付いてるの?」
それは必要だから
アームの進化形としてヴァイ氏も参考になる
コピーは難しいが・・
ギターアームの可能性を知るという意味では良いお手本だと思う
私も大ファンなのだ
憧れてそこそこ良いアイバニーズを買ったほど
古い読者の方はご存じだと思う
レスポールを購入する軍資金になった
そんなレスポールも今は消えてしまった
色々なギターが私を通り過ぎていった
気が付けば、自分がどんどんシンプルになっていく
無駄が排除されている気持ちになっているのだ
ブルース然り、アコギ然り・・・
そんな気持ちのひとつの表れにもとれる
エレキも技巧的なプレイへの興味は薄れた
むしろ、一音に魂を込めたようなプレイに心惹かれる
身体的な衰えと精神がリンクしているのだ