五感で観る

「生き甲斐の心理学」教育普及活動中。五感を通して観えてくるものを書き綴っています。

表装の裂お話

2017年04月18日 | 第2章 五感と体感
表装の裂お話2017年4月18日



掛け軸を作る楽しみといえば、裂のしつらえです。表装では布とは言わず、「裂」と言います。
ただし、自分の好み優先で裂を選ぶことができるというわけではありません。
作品である「本紙」の声を聴きつつ、色だけではなく柄との兼ね合いに意味がもたらせることが叶うと、仕立てる心も弾みます。
お任せでのしつらえだと本紙を引き立たせるために、限りなく薄めの色で品よく仕立てるのが、昨今の傾向のようですが、抑制を効かせた設えも私にとっては修業の一つです。

本紙と向き合い、作品の内容を調べたり、書いた人、そして、仕上がった表装を持つ人の嗜好まで思いめぐらすことができるのが、作り手の理想でもあるのです。
画にしても、書にしても、季節、花や葉、雲や空、海の波、川の流れに至るまで、取り合わせの裂をピントの外れた選択をすると、つまらないものになってしまいます。

目の肥えた人々が見る感想も、勉強になる反面、好みや感性の違いを感じたりすることもあります。
だからこそ、最後まで自分が納得する設えを考えないと、他者の何気ない感想で自信喪失することもあるわけです。

公営の博物館や美術館での常設も勉強になりますが、私設の美術館は、持ち主の好みやお抱えの表具屋の仕事の傾向も見えてくるので、とても勉強になります。

お寺に行っても、僧侶の装束、袈裟に至るまで、柄を覚えることも癖になり、使われた柄の裂を使用した小物があれば、購入して持っておくことも学びの一つでもあるのです。
神社に参拝すると、御朱印を頂く間、壁に掛けられている掛け軸の白地の紋をひたすら眺めます。
お寺に関しては、門外不出の裂を手に入れる喜びも、作り手ならではの感情かもしれません。
カトリック関連に使われる裂も然りです。

とにもかくにも、どうしても裂に目が行くのはやめられそうもありません。
なるべく、ため込まず、放出しながら、新たな作品を仕立ててゆきたいものです。

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