先週28日・金曜日、メキシコで行われた試合結果です。
WBAライトフライ級戦(レギュラー王座):
挑戦者エステバン ベルムデス サラス(メキシコ)TKO6回2分39秒 王者カルロス カニザレス(ベネズエラ)
*2016年の大晦日に、当時のWBA王者だった田口 良一(ワタナベ)に挑戦するために来日し、東京のリングで1対1の引き分けと大善戦したカニザレス。2018年3月には神戸のリングで、当時空位だったWBAレギュラー王座を小西 伶弥(真正)と争い、僅差ながらも明白な判定勝利を収め世界王者の座に就いています。2年前には中国のリングで、元WBOフライ級王者木村 翔(花形)の挑戦を受け、大差の判定勝利。その実力を遺憾なく発揮しています。昨年師走には、コロンビアのリングで元WBAミニマム級暫定王者ヘスス シルベストレ(メキシコ)の挑戦を受ける予定だったカニザレス。しかしシルベストレが前日計量に、2階級上のスーパーフライ級の体重で臨んだため、その防衛戦はキャンセルに。カニザレスは思わぬ形で長期のブランクを作ってしまいました。
カニザレスが今回迎えたベルムデスは、13勝(9KO)3敗(1KO負け)2引き分けの戦績の持ち主で、これまでに1度しか10回戦以上の経験が無い安全パイだと思われていました。しかし結果は予想外のものに。
ベルムデスは身長160センチ、リーチが164センチのカニザレスより一回り大きな体格の持ち主。一つ一つのパンチのスピードはなく、攻撃の回転力も遅いのですが、しつこく、しつこく王者に迫っていきました。何となく元WBCバンタム級王者で、辰吉 丈一郎(大阪帝拳)と2度戦ったビクトル ラバナレス(メキシコ)を彷彿させるスタイルの持ち主で(ラバナレスほど変則的ではない)、カニザレスはいつの間にかメキシカンの打ち合いに付き合う形となってしいまいました。
最終回となった6回、左から返しの右でダウンを奪ったベルムデス。試合再開後、豪快な右で再度ベネズエラ人をキャンバスに送りそこで試合終了。番狂わせで世界王座奪取に成功すると共に、京口 紘人(ワタナベ)、寺地 拳四郎(BMB)の対抗王者の地位を手に入れています。洗礼されたボクシング・スタイルを持つ選手が主流を占める今日この頃の世界ボクシング界。ベルムデスのような泥臭いボクシングが逆に新鮮に見えてしまいます。京口や寺地との対戦がどれだけ可能性があるかわかりませんが、見てみたいですね、日本人選手との対戦を。