DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

コラーゾ、ノックアウトをKO(2団体ミニマム級)

2024年11月20日 05時08分37秒 | 世界ボクシング

先週末16日、サウジアラビアで行われた試合結果です。
2団体ミニマム級戦(王座統一戦):
WBO王者オスカル コラーゾ(プエルトリコ)TKO7回1分29秒 WBA王者ノックアウト CP フレッシュマート(タイ)

*もう10年も前となる2014年10月に、まずは暫定王者としてWBAの最軽量級王座に就いたフレッシュマート。この2年あまり、様々な要因でブランクを作ってしまいました。しかし9月には豪州のリングで防衛を飾るなど、まだまだ過去の存在ではない事をアピールしています。

対するコラーゾは、コロナ禍直前の2020年2月にプロデビューを果たし、昨年5月に現WBC王者メルビン ジェルサレム(比)を破りWBOタイトルを獲得したばかりの新鋭世界王者。実力もさることながら、最軽量級としては珍しく大手プロモーターに目をかけられるなど、幸運時的な面もあります。常に日陰を歩む最軽量級にとり、ある意味救世主的存在と言っていいでしょう。

試合はタイ人がプレッシャーをかけ、プエルトリカンが力強く迎え撃つ展開となります。コラーゾが左右のボディーでフレッシュマートに襲い掛かれば、WBA王者がそれを的確な右ショートパンチで迎え撃つ。見ごたえのある攻防が続きます。

経験の浅いWBO王者が試合を有利に進みる中、6回に大きな動きがあります。その回の終盤にコラーゾの見事な右フックが炸裂し、不倒のノックアウトがダウン。その回終了のゴングに助けれらるのが精一杯でした。

痛烈なダウンからのダメージが抜けきらないまま7回を迎えたノックアウト。誰が見ても彼がノックアウトされるのは時間の問題でした。そしてこの回の中盤、プエルトリカンの右フックが再び炸裂し、タイ人がまたしてもダウン。驚異的な精神力で再度戦いに臨んだノックアウトでしたが、最後は左アッパーで仕留められゲームセット。コラーゾが見事なパフォーマンスを見せ、これまで保持していたWBOタイトルの防衛回数を伸ばすと同時に、WBA王座の吸収に成功しました。

敗れたとはいえ、好試合の立役者の一人としてその役割を果たしたノックアウト。本人次第で、まだまだ世界のトップ戦線で戦い続ける事が出来るでしょう。

 

長期政権を築いていた王者が陥落し、大きな動きが起こった最軽量級。下記は2024年11月20日現在の、ミニマム級王者たちとなります。

WBA:オスカル コラーゾ(プエルトリコ/防衛回数0)
WBC:メルビン ジェルサレム(比/1)
IBF:ペドロ タドゥラン(比/0)
WBO:オスカル コラーゾ(プエルトリコ/4)
OPBF(東洋太平洋):石井 武志(大橋/0)
WBOアジア太平洋:小林 豪己(真正/1)
日本:松本 流星(帝拳/0)

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あの試合から30年(WBOライト級ほか:1994年11月18日・その2)

2024年11月19日 05時11分51秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前の昨日となる1994年11月18日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
WBOライト級戦:
王者オスカー デラホーヤ(米)TKO3回1分2秒 挑戦者カール グリフィス(米)

*一戦ごとに逞しさを加えていった当時のデラホーヤ。その表情からも自信が伺えるようになりました。

7月にマイナー団体ながらも、世界2階級制覇を達成したデラホーヤが初防衛戦に迎えたのは中堅選手グリフィス。28勝(12KO)3敗2引き分けと中々の戦績の持ち主でしたが、実力はグリフィスが獲得した経験のあるUSBA(全米)タイトルが相当する中堅選手。デラホーヤを抱えるトップランク社のマッチメークの上手さが目立ちます。

(デラホーヤに一蹴されたグリフィス)/ Photo: Youtube

力強い左ジャブからのコンビネーションでグリフィスを圧倒していったデラホーヤ。初回終了間際に右、左、左フックの連打からダウンを奪う幸先のいいスタートを切ります。その後も挑戦者に付け入る隙を与えなかったデラホーヤは、3回に左アッパーを交えたコンビネーションでダウンを奪いそのままストップ勝利。世界的には無名選手たちとの試合が続いていますが、一戦ごとに確実に成長している姿を見せています。

 

NABFスーパーフライ級戦:
王者ダニー ロメロ(米)TKO初回67秒 挑戦者ドミンゴ ソーサ(ドミニカ)

*これまでに2階級下のライトフライ級で2度世界王座への挑戦経験を持つソーサ。キャリアを活かし、上昇気流に乗るロメロにどこまで食い下がれるかに注目があつまりました。しかし、結果はロメロの強打の餌食となり僅か1分ほどで仕留められてしまいました。

(試合開始早々から、打ち気満々のロメロ(背中))/ Photo: Youtube

ビックイベントの前座で名のある選手を秒殺したロメロ。全勝記録を20(18KO)の伸ばすと同時に、「世界奪取間違いなし!」の太鼓判を押されています。

(デラホーヤ同様、一戦ごとにたくましさを増していたロメロ)/ Photo: Youtube

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あの試合から30年(IBFスーパーミドル級:1994年11月18日・その1)

2024年11月18日 05時15分30秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前となる1994年11月18日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
IBFスーパーミドル級戦:
挑戦者ロイ ジョーンズ(米)判定3対0(119-107、119-108、117-110)王者ジェームス トニー(米)

*フリオ セサール チャベス(メキシコ)の無敵伝説に終止符が打たれてから一年余り。チャベスを追うかのように最強戦士と目されていたテリー ノリス(米)も打たれ脆さをさらけ出し、さらに反則負けを喫する等、1993年後半から1994年はボクシング界のトップ戦線に大激震が起こっていた時期でありました。

そんな中、最強戦士ランキング(一般的にパウンド フォー パウンドと呼ばれるものです)のトップに居座っていたのが、ボクシング史上最巧選手の一人として挙げられるパーネル ウィテカー(米)とトニーでした。そしてその2人をロイが猛烈な勢いで迫っているというのが1994年後半の世界ボクシングの動きとなります。

王者トニーはそのパンチ力に目を奪われがちですが、ナチュラルな防御感を活かしたボクシングを展開するオールラウンダー。すでにミドル級とスーパーミドル級の2階級を制し、44勝(29KO)2引き分けという素晴らしい戦績を築いてきました。トニーが返上したIBFミドル級王座を獲得し、トニーを追い求めるかのようにスーパーミドル級に進出してきたジョーンズ。26戦全勝(23KO)の戦績が表すように、とんでもないパンチ力を備えたボクサー。それに加え、超人的なスピードと運動神経を備えたスーパーマン的な選手です。

ボクシングの技術と実績に加え、トニー、ロイが揃ってほかの選手には無い生まれ持った身体能力を備えています。評価もとてつもなく高い選手同士の戦いが、遂に行われることになりました。

(注目の一戦が遂に実現)/ Photo: Wikipedia

接戦、あるいは「トニーが若干有利では?」と予想されていた一戦でした。しかし蓋を開けてみると、トニーと比較しても圧倒的なスピードと距離感を誇るロイがワンサイドマッチを演じる事になりました。初回から多彩のパンチとスピードでトニーを寄せ付けなかったロイ。3回にはお互いに挑発する中、挑戦者のパンチでトニーがバランスを崩してしまい思わずリングに手をついてしまいます。そのダウンによるダメージはほとんどありませんでしたが、それを境に試合はますます一方的になっていきます。

(試合は予想外のワンサイドマッチに)/ Photo: Boxing News

中盤戦ではロイのパンチで幾度もピンチに陥ったトニー。体調不良だったと言われていましたが、そこは流石の試合巧者。そのナチュラルな防御感で、ロイのパンチによるダメージを最小限に抑えていました。

(常に守勢に追いやられるトニー)/ Photo: Bleacher Report

終盤戦は確実な勝利を得るためか、安全運転に走ったロイ。しかしトニーには反撃する力は残っておらず、試合終了のゴングを聞くのがやっとでした。

大差の判定で強豪トニーを下し2階級制覇を達成したロイ。ここから彼の驚異的な活躍が始まることになりました。対するトニーはこの敗戦後、長らく裏街道で戦い続ける事になります。

まだまだボクシングを知ってから数年しか経っていなかった自分(Corleone)にとり、当時この試合がどれだけ価値のあるものかは分かりませんでした。しかしその後の両者の活躍を追いかけるに従い、どれだけ重要な試合だったかを知らされることになりました。現在スーパーミドル級を牽引しているのは、ご存知の通りサウル アルバレス(メキシコ)です。いくらカネロ(アルバレスのニックネーム)でも、好調時のロイやトニーに勝利は勿論の事、善戦する事も難しいのではないでしょうか。

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高山、3連続KO防衛に成功(日本スーパーフライ級)

2024年11月17日 05時29分36秒 | 日本ボクシング

先週12日、後楽園ホールで行われた試合結果です。
日本スーパーフライ級戦:
王者高山 涼深(ワタナベ)KO2回3分6秒 挑戦者青山 功(セレス)

*本来なら7月に行われる予定だった一戦。その時は高山の体調不良のために中止に。4ヶ月のインターバルを経てようやく両者の対戦が実現する事になりました。

青山も何度かパンチをクリーンヒットさせる場面もありましたが、如何せん両者の実力に差がありました。最後は2回終了間際、高山が右でダウンを奪いゲームセット。昨年6月に当時空位だった王座を獲得して以来、3度の防衛戦をすべて規定ラウンド内(KO/TKO)で終わらせることに成功しています。

2024年11月17日現在のスーパーフライ級王者たちは下記のようになります。

WBA(レギュラー):フェルナンド マルティネス(亜/防衛回数0)
WBA(暫定):デビット ヒメネス(コスタリカ/0)
WBC:ジェシー ロドリゲス(米/1)
IBF:空位
WBO:ブメレレ カフ(南ア/0)
OPBF(東洋太平洋):KJ カタラジャ(比/0)
WBOアジア太平洋:川浦 龍生(三迫/0)
日本:高山 涼深(ワタナベ/3)

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今週末の試合予定

2024年11月16日 05時21分37秒 | 世界ボクシング

2024年11月第三週末の主な試合予定です(2024年11月16日から22日まで)。

16日 土曜日
サウジアラビア
2団体クルーザー級戦(王座統一戦):
WBA王者ヒルベルト ラミレス(メキシコ)対 WBO王者クリス ビラム=スミス(英)

2団体ミニマム級戦(王座統一戦):
WBA王者ノックアウト CP フレッシュマート(タイ)対 WBO王者オスカル コラーゾ(プエルトリコ)

WBCライト級戦(暫定王座決定戦):
ウィリアム セペダ(メキシコ)対 テビン ファーマー(米)

スーパーライト級戦(12回戦):
ファン カルロス ラミレス(米)対 アーノルド バルボサ(米)

 

21日 木曜日
後楽園ホール
2団体ライト級戦(王座統一戦):
OPBF(東洋太平洋)王者宇津木 秀(ワタナベ)対 WBOアジア太平洋王者保田 克也(大橋)

 

22日 金曜日
韓国
WBOアジア太平洋スーパーミドル級戦:
王者帝尊 康輝(一力)対 挑戦者ユン ドクノ(韓国)

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ロドリゲス、実力者をストップ(WBCスーパーフライ級ほか)

2024年11月15日 05時45分01秒 | 世界ボクシング

先週末9日、米国ペンシルバニア州で行われた試合結果です。
WBCスーパーフライ級戦(王座統一戦):
王者ジェシー ロドリゲス(米)TKO3回2分47秒 暫定王者ペドロ ゲバラ(メキシコ)

*6月にスーパーフライ級で世界王座に返り咲いているロドリゲス。2度目のスーパーフライ級での初防衛戦では、15年以上のキャリアを誇る実力者ゲバラをその軍門に下しています。

試合開始早々からベテランを飲み込んでいったロドリゲス。サウスポー(左構え)からの長い右ジャブと、左右のボディー攻撃でゲバラを追い詰めてきます。

3回終盤、見事なワンツーでダウンを奪ったロドリゲス。最後はこれまた見事な右ショート・アッパーで再びダウンを奪い、そのままゲームセット。ゲバラに48戦目にして初のKO負けを与える事になりました。

存在感をさらに高める事に成功したロドリゲス。下記はロドリゲスが活躍するスーパーフライ級の、2024年11月15日現在の王者たちとなります。

WBA(レギュラー):フェルナンド マルティネス(亜/防衛回数0)
WBA(暫定):デビット ヒメネス(コスタリカ/0)
WBC:ジェシー ロドリゲス(米/1)
IBF:空位
WBO:ブメレレ カフ(南ア/0)
OPBF(東洋太平洋):KJ カタラジャ(比/0)
WBOアジア太平洋:川浦 龍生(三迫/0)
日本:高山 涼深(ワタナベ/2)

 

IBFウェルター級戦:
王者ジャロン エニス(米)判定3対0(119-107、117-109、116-110)挑戦者カレン チュハジアン(ウクライナ)

*昨年1月に、空位だった同暫定王座を賭け対戦している両雄。その時はエニスがフルマーク(120-108x3)の判定勝利を収め、暫定ながらも世界の頂点に立ちました。その後両者共に2つのKO/TKO勝利を加えて臨んだ再戦。結果的にはエニスがチュハジアンを再び退ける事になりましたが、ウクライナ人の健闘が大いに目立った一戦となりました。

普段はスピードとパワーで対戦したを飲み込むエニスですが、お互いに知った者同士による再戦だったためか、チュハジアンには米国人の脅しが通じません。エニスが勢いよく襲い掛かるも、その都度チュハジアンも反撃し王者にペースを譲りません。

5回、右アッパーでライバルからダウンを奪ったエニス。しかしここからも挑戦者が大崩れすることはありませんでした。主導権を握り続けるのは地元のエニスではありましたが、時折チュハジアンのクリーンヒットを食らう場面もしばしばありました。

結局は初戦同様に試合終了のゴングを聞く事になったこの戦い。エニスが防衛記録を伸ばしてはいますが、ディフェンスの甘さも暴露する形に。エニスの勝利に疑いの余地はありませんが、いくら何でも119対107というのはあり得ないでしょう。

かなり過大評価されている印象のあるエニス。彼が主戦場とする2024年11月15日現在のウェルター級の王者たちは下記のようになります。

WBA:エイマンタス スタニオニス(リトアニア/防衛回数1)
WBC:マリオ バリオス(米/1)
IBF:ジャロン エニス(米/3)
WBO:ブライアン ノーマン(米/0)
OPBF(東洋太平洋):佐々木 尽(八王子中屋/1)
WBOアジア太平洋:佐々木 尽(八王子中屋/4)
日本:セムジュ デビット(ウガンダ/中日/0)

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あの試合から30年(2団体ライトフライ級ほか:1994年11月12日・その3)

2024年11月14日 05時15分39秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から約30年前となる1994年11月12日、メキシコで行われた試合結果です。
IBF/WBCライトフライ級戦:
王者ウンベルト ゴンザレス(メキシコ)判定2対0(117-114、116-113、114-114)挑戦者マイケル カルバハル(米)

*今も語り草となっているゴンザレスとカルバハルのライバル対決の決着戦が行われました。前年1993年3月に、ボクシング史に残るダウン応酬の大激戦を演じた両者。大逆転KO劇を演じたカルバハルは、一躍ボクシング界の中心的存在になりました。それから11ヶ月後の1994年2月に行われた第2戦では、ゴンザレスが巧さを見せつけて僅差の判定勝利。リベンジを果たすと同時に世界王座への復帰を果たしています。

今回の第3戦目は、内容的には第2戦目の続編のようなものに終始。小柄のゴンザレスがより幅の広いボクシングを展開し、大振りで単発傾向にあるカルバハルの強打を空転させ続けました。結局は第2戦同様僅差の判定でメキシカンが勝利。ライバル対決に決着はつけましたが、内容的には一番盛り上がりの欠けるものとなってしまいました。ゴンザレス、カルバハル共に徐々にピークが過ぎつつある、という感ですね。

(2年弱の間に三度対戦する事になったゴンザレスとカルバハル)/ Photo: KO Fight Posters

 

WBAジュニアライト級戦(現スーパーフェザー級):
王者ヘナロ エルナンデス(米)判定3対0(120-107、119-109、117-109)挑戦者ジミー ガルシア(コロンビア)

*安定王者としてひた走るヘルナンデスが32戦目にして自身のルーツであるメキシコのリングに初見参。コロンビアの強打者ガルシアを寄せ付けづに大差判定勝利を収めています。180センチという同級では超長身のエルナンデスと比べると、2階級は下のクラスの選手に映ってしまったガルシア。両者には体形以外にも、技術の差が埋めがたいほどありました。

(インターバル中に余裕の表情を見せるエルナンデス)/ Photo: Youtube

珍しくドン キング プロモーションの試合に出場し、防衛記録を8に伸ばした安定王者。さらなるビックファイト出場を目指し、この試合を最後に3年間温め続けた王座を翌年春に返上する事になります。

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あの試合から30年(WBCスーパーウェルター級ほか:1994年11月12日・その2)

2024年11月13日 05時33分21秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から約30年前となる1994年11月12日、メキシコで行われた試合結果です。
WBCスーパーウェルター級戦:
挑戦者ルイス サンタナ(ドミニカ)反則5回2分2秒 王者テリー ノリス(米)

*ノリスにとりメキシコというのは、あまり相性の良い地ではないのかもしれません。この試合が行われた前年1993年師走に同地に登場したノリスは、サイモン ブラウン(米)の強打の餌食となり王座から陥落してしまいました。この年の5月にブラウンを完封し、王座に返り咲いたノリスでしたが、自身2度目の王座の初防衛戦でとんでもない落とし穴が待っていました。ノリスが迎えたのは、38勝(29KO)15敗2引き分けの戦績を持つサンタナ。その実力は戦績の通りで、世界ランカーとしては並以下。しかもこの試合がサンタナにとり1年ぶりのものでした。

(ノリスからして、安全パイと見られていたサンタナでしたが...)/ Photo: Youtube

そんな格下相手に「倒そう」という意識が強すぎたノリスは、試合開始早々から妙にいきり立っていました。どうもブラウンとの初戦から様子がおかしいノリス。3回にはサンタナの右でグラつき、追いうちのパンチを貰った後は自らクリンチ(相手に抱きつく行為)にいきます。勢い余ったノリスはバランスを崩しフロアに転落してします。驚くことにレフィリーは、それをダウンとみなすという不手際。

(妙な形でダウンを奪われてしまったノリス)/ Photo: Youtube

4回にはバッティングでサンタナが額のど真ん中をカット。アクシデントとはいえ、負傷していないノリスはWBCのルールに則り減点一を科されてしまう始末。ノリスからすると、何から何まで歯車が狂っていました。しかしようやく5回、ノリスはサンタナをあと一歩のところまで追い詰めます。しかしロープ際で体が入れ替わった際、ノリスはドミニカ人の後頭部にパンチを放ってしまいダウンを奪ってしまいました。

リング上に横たわるサンタナは、レフィリーやリングドクターの声が聞こえないのか、リングに横たわり続けます。誰がどう見てもサンタナが嘘を演じているのは明白。しかしノリスが反則打を放った事もまた事実。結局はその「ダウン」から5分後、ノリスは失格負けを宣告されています。レフィリーやコミッションを含め、試合運営側にも落ち度があった一戦。妙な形で試合は終わってしまいました。

(KOされた勝者サンタナ)/ Photo: Youtube

当時のノリスには、一階級下のウェルター級王者パーネル ウィテカー(米)や、一階級上のミドル級王者ロイ ジョーンズ(米)との対戦話が出ていたノリス。この「大ドジ負け」のために、それらのドリームマッチを不意にしてしまいました。

王座を失うと同時に、メキシコでの通算戦績を2勝(1KO)2敗(1KO負け)としたノリス。彼が再びこの国で試合を行うことはありませんでした。

 

WBAクルーザー級戦:
王者オーリン ノリス(米)KO2回2分46秒 挑戦者ジェームス ヒース(米)

*7勝(6KO)1敗2引き分けという明らかな格下を迎えたテリーの実兄オーリン。6分弱で歯ごたえのない挑戦者を仕留め、無難に防衛記録を3に伸ばしています。

興行者であるドン キング氏は、テリーもオーリンのように安易に防衛記録を伸ばすと思っていたことでしょう。

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あの試合から30年(WBCストロー級:1994年11月12日・その1)

2024年11月12日 05時26分11秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前の今日となる1994年11月12日、メキシコで行われた試合結果です。
WBCストロー級戦(現ミニマム級):
王者リカルド ロペス(メキシコ)TKO8回1分33秒 挑戦者ハビエル バルゲス(メキシコ)

*37戦全勝(27KO)という素晴らしい戦績を維持していた最軽量級の帝王が、37勝(27KO)14敗1引き分けという一階級上のライトフライ級の常連世界ランカーであるバルゲスを迎え、12度目の防衛戦を行っています。

サウスポー(左構え)の選手をそれほど得意としていなかったと言われた当時のロペスでしたが、決してサウスポー選手が苦手だったというわけではありません。右構えの選手と比べると、相対的に勝ちが遅くなっていただけの事でした。

今回ロペスが迎えたバルゲスもサウスポーの選手。1988年6月に、当時のメキシコ国内ライトフライ級王者だったウンベルト ゴンザレス(メキシコ)に挑戦し5回TKO負け。1991年3月には、強打者マイケル カルバハル(米)が保持していたIBFライトフライ級王座に挑戦するも判定負け。黒星は多いものの、敗戦の中で培ってきた経験で常に世界上位ランキングをキープ。そんなタフなサウスポー相手に、ロペスがどのような試合を見せるかに注目は集まっていました。

(以前、強打者カルバハル(左)とフルラウンドの激戦を演じたバルゲス)/ Photo: Youtube

試合は蓋を開けてみると、ロペスが素晴らしいボクシングを見せつけ、一方的に同胞を破ってしまいました。絵に描いたような「闘牛士と闘牛」による対戦は、タフネスを武器に前進し続けるバルゲスを、ロペスが華麗なフットワークと左右の多彩なパンチで翻弄。バルゲスは前進するサンドバック状態となってしまいます。

(対峙するロペス(右)とバルゲス)/ Photo: Youtube

ロペスの軽やかなフットワークについていけず、長距離から放たれるロペスのパンチにも対応しきれないバルゲス。テレビ解説者は、ただただバルゲスのタフネスに驚いていました。しかしそれにも限度というものがあり、あまりにもの一方的な試合展開のためレフィリーは両者の間に入りロペスの勝利を宣告。両者の実力差、相性があったとはいえ、王者が会心の内容で防衛記録を伸ばすことに成功しました。

5大世界戦の一つとして組み込まれたWBCの最軽量級戦。普段は会場がガラガラの前座試合の一つに登場させられていたロペスですが、今回はテリー ノリス(米)やヘナロ エルナンデス(米/帝拳)等、当時の実力者達を差し置いてメインイベント直前の試合に大抜擢されました。そしてその期待に応えるかのように素晴らしいパフォーマンスを披露したロペス。2年半ぶりのメキシコシティでの試合でしたが、地元のファンもロペスの出来には大満足だったことでしょう。

またこの興行には、後に4階級を制覇するファン マヌエル マルケス(メキシコ)がプロ8戦目のリングに立ち、ホセ ルイス モンテス(メキシコ)を2回で仕留めています。

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フォースター、4ヶ月で王座に返り咲き(WBCスーパーフェザー級)

2024年11月11日 05時15分01秒 | 世界ボクシング

今月2日、米国ニューヨーク州で行われた試合結果です。
WBCスーパーフェザー級戦:
挑戦者オシャキー フォースター(米)判定2対1(115-113x2、113-115)王者ロブソン コンセイサン(ブラジル)

*7月に対戦しているフォースターとコンセイサン。その時はフォースターがワンサイドに試合を進めるも、驚くなかれ下された判定は2対1でブラジル人の勝利を支持。その判定結果に激怒したWBCは、最近では珍しく両者による直再戦を行うよう指令を出しました。

4ヶ月の期間を経て再び対戦する事となった両雄。軽打ながらもクリーンヒットを重ねるフォースターが、コンセイサンのパンチをほぼブロックするという試合展開は変わりませんでした。10回にはブラジル人をぐらつかせるなど優位を保ったフォースター。米国人が明白なリードを奪い12回を終えたように終えましたが、今回も判定は2対1と割れる形に。しかし今回はしっかりとフォースターが勝利を収め、順当に王座への返り咲きを果たしています。

勝つべき選手が勝利を収め、前王者がベルトを奪回したWBCスーパーフェザー級戦線。2024年11月11日現在の同級の王者たちを確認しておきましょう。

WBA:レイモント ローチ(米/防衛回数1)
WBA(暫定):アルベルト バティルガジエフ(露/0)
WBC:オシャキー フォースター(米/0)
IBF:アンソニー カカーチェ(英/0)
WBO:エマヌエル ナバレッテ(メキシコ/2)
WBO(暫定):オスカル バルデス(メキシコ/0)
OPBF(東洋太平洋):波田 大和(帝拳/0)
WBOアジア太平洋:渡邊 海(ライオンズ/0)
日本:奈良井 翼(RK蒲田/1)

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