◇それは猛暑の午後のミステリーである◇
相変わらずの猛暑の午後の山手線の内回り、車内は程々に混んでいた。新橋駅に着くと、乗客は次々と電車から降り始めた。この駅が終点ではない。居眠りの男性をひとり残して車内はゴーストタウン化。しばらくして、車内の異様さに気付いた居眠りの男性は、慌てて立ち上がりあたりを見回す。しかし、自分が降りる駅ではないことを確認したのか、再び座席に着いた。
しかしどうも様子がおかしいと、不思議そうな顔でキョロキョロしている。夢の続きを見ているのだろうか、そんな顔にも見えた。僕もここで写真など撮っている場合ではない。電車から降りて、ホームの反対側の京浜東北線に乗り換えた。その後、この男性がどうしたかは確認していない。
新橋駅に着いた時、車内放送で、原宿駅での事故により運転を見合わせるという知らせがあったため、乗客は皆京浜東北線に乗り換えていたのだった。
夜のニュースによると、この事故はJR原宿駅のホームで、小学6年生の男の子が線路に転落し、その直後に電車が進入して通過したが、男の子はホームの下に逃げ込み無事だったとか。男の子はゲーム機を操作しながら、母親と一緒に歩いていたが、誤って線路に転落したという。
先日は、酔っ払いにぶつけられた77歳の男性が、ホームから転落して死亡したというニュースがあったばかり。携帯電話を操作しながら歩いている輩も多い。駅のホームでは、真夏の昼のミステリーにならないよう、常に周りに気を配らなければ安全はない。