勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

別れのエピローグ

2012-10-17 22:42:03 | Weblog
 暑く長かった夏が終わり、急に冷え込んできたため、終日開け放していた窓は締め切り、寝具も冬バージョンになった。早朝にベランダの窓を開けると、辺りに漂う甘い香に驚く。


 
-きんもくせい-

◇時を待つ◇

花が咲くのは 年に一度
後は静かに 時を待っている
あくせくするのは 止めよう
一度でいい ひとつでいい

-星野富弘さん-


 ベランダの真下の植え込みに咲く金木犀、今年は花が咲くのが遅いようだ。目立たない花であるが、甘い香りはその存在を誇示する。年に一度、この時期の金木犀の香りは、僕にとって悲しみのプレイバックとなる。それは一昔以上前の、ある悲しい別れの数日後に咲いた金木犀の、息が詰まるほどの芳香が、悲しみのトラウマとなって僕の心に侵入するのだ。金木犀の花言葉は、『謙虚』だというが、他にも『思い出の輝き』もある。ただでさえ寂しい秋、僕にとって、金木犀の香りは別れのエピローグでもある。その香りが、思い出に輝くモノローグになる時が来るのを静かに待とう。