2019年の競馬界の総決算・第64回有馬記念(GⅠ・芝2500m 16頭立て)が22日、中山競馬場で行われました。秋の天皇賞馬でファン投票1位の⑨アーモンドアイと、宝塚記念&コックスプレートを優勝し、これが引退レースとなる⑥リスグラシューの牝馬2強が最初で最後の激突。さらにはジャパンカップ優勝②スワーヴリチャード、2017年ダービー馬⑦レイデオロ、皐月賞馬⑩サートゥルナーリア、菊花賞馬⑦ワールドプレミア、2年連続有馬3着⑯シュヴァルグラン、元3歳マイル女王⑮アエロリット、凱旋門賞帰りの⑤フィエールマン&⑪キセキ、大阪杯を勝った⑬アルアインとGⅠ馬が11頭も参戦しました。
単勝オッズは、アーモンドアイが1.5倍の圧倒的1番人気。2番人気はリスグラシュー(6.7倍)、サートゥルナーリアが3番人気(7.8倍)。4番人気以降はワールドプレミア、スワーヴリチャード、フィエールマン、キセキ、⑭ヴェロックス、レイデオロと続きました。
外回り3コーナーからのスタートで、レイデオロとキセキが少し出遅れる。最初の先行争いで⑫クロコスミアとアエロリットの2頭が競り合い、内から④スティッフェリオも先行争いに加わる。4,5番手にアルアインとヴェロックスが控え、その後ろにスワーヴリチャードと③エタリオウがいて、①スカーレットカラーは8番手、9番手にフィエールマン。アーモンドアイは中団の10番手につけ、その内側の11番手にリスグラシュー、サートゥルナーリア12番手待機。13番手キセキ、14番手シュヴァルグラン、ワールドプレミアは後方2番手につけ、レイデオロが最後方。
1周目の正面スタンド前に差し掛かり、アエロリットが単独先頭、2番手にクロコスミア、スティッフェリオが内側3番手。スワーヴリチャードは7番手、アーモンドアイがヴェロックスをかわして8番手に浮上。10番手のリスグラシューは内ラチ沿いを走る。フィエールマン11番手、サートゥルナーリアは12番手、ワールドプレミアは最後方に下がって1コーナーを回る。
1,2コーナー中間を通過し、先頭のアエロは後続に大きく差を拡げ、最初の1000mを58秒5で通過。向正面のところで、スティッフェが2番手、クロコが3番手、アルアイン4番手。5番手にエタリ、スワリチャ6番手、内側7番手にスカカラ、そしてアーモンドは中団の8番手。9番手にヴェロ、リスグラとフィエールが10,11番手で並走。12番手キセキ、13番手サートゥル、14番手シュヴァル、レイデオロ15番手、ワープレがしんがりという展開。
3コーナーを回ってもアエロの大逃げが続く。2番手のスティッフェと3番手以降の差も開いている。3,4コーナー中間でクロコのリードが徐々になくなり、アルアインが3番手に上がり、アーモンドが4番手に浮上。フィエールとサートゥルは外に持ち出し、リスグラはまだ馬込みの中。後方のワープレは一番外に回す。
16頭が4コーナーを回り、最後の直線へ。スティッフェリオが先頭に立つが、2番手からアルアイン、真ん中からアーモンドアイ、外からフィエールマン、大外サートゥルナーリアと5頭が横一線!しかし、残り200mでリスグラシューがアーモンド,フィエール,サートゥルらをまとめて捕らえると、ラストの登り坂で一気に突き放して先頭ゴールイン!サートゥルナーリアが2着、最後方から追い上げたワールドプレミアが3着。アーモンドアイは最後に失速してしまいました…。
【有馬記念全着順】
1着⑥リスグラシュー 2分30秒5
2着⑩サートゥルナーリア 5馬身
3着⑦ワールドプレミア クビ差
4着⑤フィエールマン 1馬身1/2
5着⑪キセキ クビ差
6着⑯シュヴァルグラン
7着⑧レイデオロ
8着⑭ヴェロックス
9着⑨アーモンドアイ
10着③エタリオウ
11着⑬アルアイン
12着②スワーヴリチャード
13着④スティッフェリオ
14着⑮アエロリット
15着①スカーレットカラー
16着⑫クロコスミア
【払戻金】
単勝 ⑥ 670円
複勝 ⑥ 210円 ⑩ 270円 ⑦ 390円
枠連 ⑶-⑸ 300円
馬連 ⑥-⑩ 2,990円
馬単 ⑥-⑩ 6,130円
3連複 ⑥-⑦-⑩ 10,750円
3連単 ⑥-⑩-⑦ 57,860円
ワイド ⑥-⑩ 850円 ⑥-⑦ 1,450円 ⑦-⑩ 2,000円
令和最初のグランプリレースは、単勝2番人気のリスグラシューが圧勝!宝塚記念、コックスプレートに続いてのGⅠ3連勝を果たし、有終の美を飾りました。2着のサートゥルナーリアは中山コースの相性の良さを証明。ワールドプレミアは最後方待機から3着と健闘。どちらも3歳世代の意地を見せました。「凱旋門賞組」のフィエールマン
とキセキも掲示板圏内に入りました。
引退レース組では、シュヴァルグラン6着、レイデオロはスタートミスが響き7着、アルアインは11着。大逃げで見せ場を作ったアエロリットは14着、クロコスミアは最下位の16着に終わりました。
圧倒的1番人気のアーモンドアイは、先頭争いに加わるも、ラスト100mで脚が止まってしまい9着。初めての中山コース、慣れない小回り、2500mの距離も長かったし、熱発明けと様々な不安要素が大いに出ました。レース中も終始外側を回され、直線で内側に入ったんですが、最後にレースをやめてしまいました…。ここまで負けるとは思わなかったなぁ。この日はアーモンドアイが有馬で勝てず、羽生結弦選手が全日本フィギュアで優勝を逃し、M-1グランプリでも和牛が「最終決戦」に進めず。優勝候補筆頭が次々と勝てなかった1日でしたな…。
GⅠ通算4勝目のリスグラシューは、牝馬では史上初の「グランプリ春秋連覇」を達成。鞍上のダミアン・レーン騎手は、有馬記念初参戦で初勝利。有馬記念当日限定の免許を取得し、今年のJRA・GⅠ競走で3勝目を手にしました。矢作芳人調教師は有馬初出走で初制覇です。また、馬主のキャロットファームとハーツクライ産駒も有馬初勝利。お父さんのハーツクライは2005年の有馬でディープインパクトを破りましたが、今年の有馬もハーツ産駒がディープ産駒を抑えて優勝。歴史は繰り返される…。
この日のリスグラシューは、序盤から中団のインコースでアーモンドアイより後ろの位置に控え続けました。2周目の3,4コーナーの時点では中団馬群にいて、ラストの直線で外側に進路を変えると、大外から一気に突き抜け、5馬身の差をつけてフィニッシュ。牝馬の有馬記念優勝は2014年のジェンティルドンナ以来6頭目。ダイワスカーレットもジェンティルドンナも凄いですが、派手な勝ちっぷりをしたのはリスグラシューが一番だと思います。
あと一歩でGⅠを逃し続けてきたリスグラが、4歳秋のエリザベス女王杯で覚醒し、今年はダミアン・レーンとのコンビでGⅠを3連勝。GⅠ年間3勝、アーモンドアイとの直接対決で勝ったから、「年度代表馬」と「最優秀4歳以上牝馬」は確実でしょう。「今がピークなのにもったいない」、「引退撤回してほしい」という意見もありますが、良い時に引退するのも有りだと思います。
有馬記念も終わりましたが、今度の週末もGⅠレースがあります。28日は中山競馬場で2歳中距離王決定戦・ホープフルステークス、29日は大井競馬場でダート総決算・東京大賞典が行われます。ホープフルステークスの方は、東スポ杯2歳ステークスで圧勝したコントレイル、オルフェーヴル産駒のオーソリティ、アイビーステークスを勝ったワーケア、萩ステークスの勝ち馬・ヴェルトライゼンデ、札幌2歳ステークス優勝のブラックホールなどが登録済み。
東京大賞典の方は、ラストランとなるゴールドドリーム、昨年の優勝馬・オメガパフューム、GⅠ2勝のケイティブレイブ、ロードゴラッソ、ロンドンタウンの他に、ダートGⅠウィナー経験馬のオールブラッシュ(大井)、ノンコノユメ(大井)、サウンドトゥルー(船橋)、さらにリッカルド(船橋)、ストライクイーグル(大井)、モジアナフレイバー(大井)などが登録しております。
有馬で馬券を外した人が、ホープフルか東京大賞典でリベンジを果たせることを願っています。