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大相撲の秋巡業中に横綱・日馬富士関がモンゴル人の後輩力士である貴ノ岩関に暴行した事件が明らかになってから2週間が経過した29日、日馬富士関が一連の暴行問題の責任を取る形で引退を表明しました。
今月14日に事件が発覚して以降、公の場から姿を見せなかった日馬富士関ですが、この日の朝に日本相撲協会に引退届を提出。午後2時から福岡・太宰府天満宮で師匠の伊勢ケ浜親方と共に記者会見に出席しました。
初めに伊勢ケ浜親方が「本日、横綱・日馬富士が引退届を提出しました。日馬富士が今回の問題の責任を取る形で引退したいということは、本人から早くから言われておりましたが、ファンの皆様に相撲を楽しんでいる間、控えさせていただきました」と涙ながらに説明。さらに「日頃から酒癖悪い、乱暴するとか、そういったところは私自身見たことも聞いたこともありませんでした。なぜ今回そんなことになったのか、唯々不思議というか、残念でなりません」と語ったのち、「これまで支えていただいたファンの皆様、また相撲協会の皆様に、心から御礼とお詫びを申し上げます。本当にすいませんでした」と頭を下げました。
日馬富士関は「この度、貴ノ岩関にケガを負わせたことに対し、横綱としての責任を感じ、本日を以って引退をさせていただきます。国民の皆様、相撲ファンの皆様、相撲協会、伊勢ケ浜部屋の後援会の皆様、親方、女将さんに大変迷惑をかけたことを心から深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。
引退を決めた理由についての質問には、「この事がマスコミの皆様に知られて、その後に親方に話して『この事が大きくなってます』、『横綱の名前に傷つかぬよう責任を持ちたい』と伝えた」と述べました。
暴行に至った理由については、「先輩横綱として、弟弟子が礼儀と礼節がなってない時に、それを正し、直し、教えてあげるのが先輩の義務だと思う。弟弟子を思って叱ったことが彼を傷つけ、世間を騒がしてしまった」と話しました。
貴ノ岩関に対して思うことはの問いに、「貴ノ岩関にケガを負わせて、心も傷ついていると思う。ちゃんとした生き方をして頑張っていただきたいです」。酒のトラブルについては「酒を飲んで何かの事件を起こしたことはない。人を傷つけたり、暴れたり、酒癖が悪いと言われたことは今まで1度もない」と強調しました。
日馬富士の引退を受け、相撲協会の八角理事長は「このような形で土俵を去ることは、日本相撲協会としても大きな損失であり、非常に残念。どのような理由であっても暴力を肯定することはできない。断腸の思いです。」とコメントしています。
事件が発覚した当初は、「ビール瓶で殴った」と言われていましたが、最近の報道では「平手で複数回殴った後、頭部でリモコンで殴った」との疑いも。リモコンといっても、テレビやエアコンのような一般的なものではなく、カラオケボックスにある「デンモク(電子目次本)」といわれるものです。恐らくデンモクの角の部分で殴ったのではないでしょうか。あれで思いっきりガーンと殴られたら、傷がパックリ割れて、大出血すると思います。
被害者の貴ノ岩関は、九州場所を全休したため、来場所は十両陥落が決定的。冬巡業も不参加。一部報道では初場所も休場も示唆しているとか。貴ノ岩の師匠である貴乃花親方は、依然として沈黙を保ったまま。貴ノ岩または親方が暴行事件のことを語る日は来るのだろうか。
日馬富士の引退発表に「残念だ」とか「悲しい」という声もありますが、不祥事を起こしたのだから引退は当然だし、やむを得ないと思います。16歳でモンゴルから来日し、努力を積み重ねて横綱まで上り詰めたけど、晩節を大いに汚しましたね。「相撲を愛している」のなら、後輩たちをもっと優しく接しているし、人を殴らないはずだ。横綱なら何をやってもいいと思ったら大間違いです。
現役を引退した力士は親方に転身するのが一般的ですが、日馬富士関は日本国籍を取得していないため、相撲協会には残ることができません。今後はモンゴルに帰国して事業家か政治家に転身するだろうと思います。なんせモンゴルでは「国民的英雄」ですから。
また総合格闘技イベントの「RIZIN」が日馬富士に興味を示し、大晦日参戦も噂されていますが、絶対ないと思います。元横綱の曙なんかK-1で負けてばっかりだし、元大関の把瑠都もミルコ・クロコップにKO負け。日馬富士も総合格闘技で成功を収めそうになれない気がする。
今年1月の初場所で稀勢の里が優勝して横綱に昇進し、白鵬,日馬富士,鶴竜,稀勢の里の「4横綱時代」が到来。しかし、稀勢の里が春場所で左腕を痛めると、九州場所で左足首と腰を痛めて途中休場。鶴竜は右足などを痛めて4場所連続で休場。日馬富士は不祥事で引退表明。白鵬は秋場所全休の後、九州場所で優勝。わずか10カ月で4横綱時代が終わり、全員が皆勤だった場所は一度もありませんでした。次の初場所では稀勢の里と鶴竜が進退をかけることになりそうです。
日馬富士暴行事件の真相が一日でも早く明らかになるのと同時に、相撲界から暴力がなくなることを願うばかりです。そして、来年以降も相撲人気が続けばと思っています。