秋の中距離王決定戦・第154回天皇賞(秋)(GⅠ・芝2000m 15頭立て)が30日、東京競馬場で行われました。今年の秋天は、香港のチャンピオンズマイルを制した⑧モーリス、フランスGⅠのイスパーン賞を圧勝した①エイシンヒカリ、ドバイターフ覇者⑫リアルスティール、安田記念で復活勝利を挙げた⑤ロゴタイプ、昨年の秋天を勝った⑮ラブリーデイのGⅠ馬5頭のほかに、毎日王冠で牡馬を蹴散らした⑨ルージュバック、毎日杯を勝った③アンビシャス、昨年2着⑭ステファノス、④サトノクラウン&⑦サトノノブレスの「サトノ軍団」の2頭も出走しました。
単勝の上位人気は、1番人気がモーリス(3.6倍)、2番人気がエイシンヒカリ(4.5倍)、3番人気ルージュバック(5.1倍)。4番人気のアンビシャス(6.0倍)までが単勝一ケタ台で、その後はラブリーデイ、ステファノス、リアルスティール、サトノクラウン、ロゴタイプと続きました。
1コーナー奥でのスタートは、15頭ほぼ揃ったスタート。エイシンヒカリとモーリス、ルージュバックは好スタートを決め、アンビシャスは後方に下げた。先行争いでエイシンヒカリとロゴタイプの2頭、外から⑬ヤマカツエースとラブリーデイも先行グループに加わるが、エイシンヒカリが先手を奪って向正面へ。ラブリーデイが2番手につけ、ヤマカツエースとロゴタイプが3,4番手で並ぶ。5番手にサトノクラウン、モーリスは外側の6番手に控え、内側7番手に②クラレント。中団の8~10番手グループには、⑦サトノノブレス・リアルスティール・⑥アドマイヤデウスの3頭がひと塊。11番手⑩カムフィー、12番手にルージュバックが追走し、その後ろの13番手にアンビシャス、14番手ステファノス。⑪ヒストリカルが集団から少し離れて最後方を進む。
3コーナーを回り、先頭を行くヒカリは前半1000mを60秒8で通過。これはスローペースの逃げだ。ラブリーがピタリと2番手、ロゴは内側4番手、サトクラ5番手、モーリスは6番手と好位置にいる。リアスティ・ルージュ・アンビシャス・ステファノスはまだ中団より後ろのところ。
4コーナーを回り、勝負は最後の直線コース。先頭争いは、逃げるエイシンヒカリに対し、ラブリーデイとヤマカツエースが接近し、モーリスが4番手から追ってきた。ゴール残り400mのところでモーリスがわずかに先頭、ヒカリは馬群に沈んでいく。2番手争いではロゴタイプとラブリーデイが競り合い、アンビシャスが内を突くと、リアルスティールが馬群を割って急追。ゴール残り100mでリアスティが2番手、ステファノスが3番手に上がる。完全に抜け出したモーリスは、後続を振りきり先頭ゴール!マイル王者モーリス、中距離でも強い競馬を見せました!
天皇賞・秋 全着順&払戻金
1着⑧モーリス 1分59秒3
2着⑫リアルスティール 1馬身1/2
3着⑭ステファノス 1馬身1/4
4着③アンビシャス 1馬身
5着⑤ロゴタイプ アタマ
6着⑥アドマイヤデウス
7着⑨ルージュバック
8着⑪ヒストリカル
9着⑮ラブリーデイ
10着⑦サトノノブレス
11着②クラレント
12着①エイシンヒカリ
13着⑩カムフィー
14着④サトノクラウン
15着⑬ヤマカツエース
単勝 ⑧ 360円
複勝 ⑧ 150円 ⑫ 350円 ⑭ 240円
枠連 [5]-[7] 1510円
馬連 ⑧-⑫ 2420円
馬単 ⑧-⑫ 3700円
ワイド ⑧-⑫ 900円 ⑧-⑭ 630円 ⑫-⑭ 1760円
3連複 ⑧-⑫-⑭ 7430円
3連単 ⑧-⑫-⑭ 32400円
好メンバー揃いだった今年の秋の天皇賞は、モーリスが1番人気の期待に応えて快勝しました。2着には7番人気のリアルスティール、3着に6番人気・ステファノスが入りました。4番人気のアンビシャスは4着、3番人気のルージュバックは7着、連覇を狙ったラブリーデイは9着。そして、2番人気だったエイシンヒカリは、序盤からスローペースで逃げたものの、直線で沈んで12着。昨年の9着を下回る成績ですね…。本馬場入場やゲート前の輪乗りのときに気性が悪かったような気がしました。モーリスとエイシンヒカリは年内で引退し、これが国内最後のレースだったんですが、明暗が分かれましたねえ。
モーリスは今年4月のチャンピオンズマイル以来の勝利で、GⅠ通算5勝目をマーク。鞍上のライアン・ムーア騎手は秋天初勝利で、日本のGⅠ競走6勝目を挙げました。ムーア騎手といえば、先日の凱旋門賞でファウンドとのコンビで優勝。29日から短期免許を利用して日本で騎乗し、2日目で天皇賞を制覇。日本のファンの前で凱旋門賞ジョッキーの実力を発揮しました。そんなムーア騎手は、11月1日に豪州GⅠのメルボルンカップで④ボンダイビーチに騎乗し、11月6日(日本時間)にはアメリカの競馬の祭典・ブリーダーズカップに参戦します。
モーリスは今年に入ってチャンピオンズマイルを勝った後、安田記念と札幌記念で2着。前走の札幌記念では、道悪だったこともあったけど、ゴール前で脚が止まりました。2000mの距離は長いのかと思いましたが、今回の秋天で距離不安を克服。3,4コーナーで仕掛けると、直線で外から抜け出し、リアルスティールに1馬身半差の完勝でした。今回の勝利はムーア騎手のおかげとしか言えません。
中距離まで制圧した「アジアのマイル王」モーリス、「現役ラストラン」となる12月の香港遠征では「香港マイル」と「香港カップ」のどちらに向かうのか?もし香港のGⅠで勝利すれば、2年連続年度代表馬の可能性も高いでしょう。
GⅠ競走の中休みとなる11月6日は、東京競馬場でアルゼンチン共和国杯、京都競馬場でダート重賞・みやこステークスが行われます。
アルゼンチン共和国杯は、「大魔神軍団」のシュヴァルグラン&ヴォルシェーブ、低迷続きの元ダービー馬・ワンアンドオンリー、アルバート、ハギノハイブリッド、フェイムゲーム、モンドインテロなどが参戦。
みやこステークスは、アメリカ三冠競走に挑んだラニ、ジャパンダートダービー馬・キョウエイギア、レパードステークスを勝ったグレンツェントの3歳勢と、フェブラリーステークスを勝ったモーニン、昨年の優勝馬・ロワジャルダン、アスカノロマン、アポロケンタッキー、インカンテーション、カゼノコなどが出走予定です。