栗、梨、柿、イチジク、早生みかん、そして葡萄。秋の味覚ですぐにイメージが浮かんだものだ。 続いて秋刀魚、山芋(自然薯)、あけび。フグ、マツタケは高嶺の花なので論外。 その他に銀杏、ざくろ。山遊びを思い出す。
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秋の行楽に欠かせないのが葡萄狩りや柿狩り。自然豊かな果樹園で秋の柔らかな日差しを浴びてオゾンをたっぷりと吸うのも気持ちよい。ここ数年、安心院や豊前でぶどう狩りを楽しんでいる。けれども、正直って高い! 単に求めるだけならスーパーや農協で買うほうがずっと安いし、味も保証つきなので間違いない。それでも、やはりぶどう狩りに行くのだから、惹き付ける何かがあるのだろう。<o:p></o:p>
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秋の味覚の思い出は・・・子供の頃の話だ。遊び場として山に行く事が多かった。ちゃんばらの刀を作るのに、まっすぐな木を探した結果、ハゼの枝を切り落とし、加えて刀身として皮を剥ぎ取ったものだから、その日の晩から弟の顔が2倍くらいに腫れあがってしまった、こともあった。どんぐりや椎の実を拾い集めてコマを作ったり、竹とんぼ用の竹を切り出したり。里山ではなかったが、結構山と親しんでいた。
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小学校4,5年の頃だったと思うが、友達と2人で遊んでいたのだが、アケビの実を見つけた。サツマイモみたいな形で、熟すと半分に割れて中から果肉が顔を見せる、あの果物だ。アケビの木は蔓のため、大きな木に巻きついているのが普通だ。だから実も高い枝の先に生ることが多い。このとき見つけたアケビもそうだった。子供の目から見て、とても登れそうも無い高いところに3個くらい生っていた。
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葡萄の木を見上げている狐のような心境で、どうしようかと相談していたのだが、そこに中学生が数人、通りかかって、私たちを見て状況を察したようだ。すぐさま、木に登りアケビを採ってしまったのだ。もちろん私達にはしらんふり。食べながら去っていった。
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実に悔しい思いをした。このことがあってから、ひそかに木に登る練習に精を出した。親父が木登り名人とも言える人で、ものすごく高い木に登っていたので、それを見よう見まねで覚えようとしたのだった。
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それから、アケビを見つけると特に細い枝の先で無い限り、採れるようにはなった。木に登る恐怖心を克服してGETしたアケビは、えもいわれぬ甘さでジューシーな味わいだった。熟しすぎるとカラスが食べるので、ほど良く割れた完全なアケビを見つけることは稀でもあったので、そんな時は特に嬉しかった。
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たっ君、2週間。順調に育ってます。
娘達が大きくなって、彼岸の頃、ハイキングを兼ねて墓参りに行く事があったが、その道脇にアケビの木があった。そのアケビを娘達は別段美味しいとも思わないようだった。食が氾濫している現代、自然の恵みに感慨を覚えないのだ。寂しい気がする。イチジクとならんでアケビは子供の頃の思い出の味覚なのだ。
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