どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

椿三十郎(平成版)、鑑賞(2)

2008年05月25日 17時32分43秒 | DVD・Blu-ray
未だにモヤモヤしてます(^_^; 長々とケチョンケチョンに毒吐いてますので、不快に思われそうな方は飛ばしてくださいm(_ _)m

なんで今リメイクなんかしたのか?俳優陣もミスキャストだらけですし、演出もどこか変ですし…。特に織田裕二の三船のモノマネなのか他の意図があってのことなのか意味不明なクセのある口調とギクシャクとした表情。

ネタバレになりますが、最後の決闘シーンのアレンジも変です。本作最大の見せ場ですし、ここは同じ事をやらず、何らかの手を加えたいと苦悩した結果だと思うんですが、相手の刀の掴み合いって…。お互いに「お前を斬りたくないんだ」と言う意志の現れなんでしょうか?揉み合った末に弾みで相手の刀が抜け、そこから先はスローで演出。血の一滴も流れない不自然な描写。

なんだか人間の醜さみたいなモノを露出させた演出にしか見えなくて、武士道さえ穢してしまっているのではないかと。決闘直前の会話で結論が出たのなら、迷うことなく勝負し、結果がどうであっても本懐なのでは?それに変なブレーキをかけて何の意味があるんでしょうか?決闘後の若侍に対する説教も生きてきませんし、「あばよっ」のセリフも間抜けな感じでした。その直前に一瞬ですが織田三十郎が泣きそうな表情をするのも台無しです…orz

オリジナルに比して90%以上の忠実度って感じですが、数%のアレンジが非常に気持ち悪いんです。決闘シーン以外にも女中のガッツポーズとか、黒藤邸の女中たちの色気のある接待とか、織田三十郎の碁石を弄っているシーンとか、もう一々変だし気持ち悪い…。「ここ、笑うところです」というシーンが見え見えで、微妙に外してくれていて、丸で笑えない…。

「これは別物だ、変に期待しないで観よう」と心に言い聞かせながら観たつもりでしたが、これだけ似て非なるモノを見せつけられると、どうしてもダメです(×_×) レオナルド・ダ・ヴィンチの名作「モナリザ」を、今の画家がモデルを変えつつ忠実なタッチにしつつ、少し今風のアレンジを加えて公開したとして、どんな評価が期待できるでしょうか?

リメイクとは比較できませんが、黒澤自身も原作物とか、シェークスピアやドストエフスキーなどの映画化を少なからずやってますが、大幅なアレンジと解釈を加えているからこそ作品として成立するワケです。ルーカスの「スターウォーズ」も然り。オマージュやパロディであれば、それなりの見方もできます。でも…今回のようなリメイクはもう止めてほしいとかしか思えませんでした。

黒澤作品ではありませんが、北野武版「座頭市」は個人的にリメイクの意義を感じた佳作だと思っています。北野作品の他のラインナップは決して好みではありません。でも本作には彼独特のハードボイルド路線とパロディ要素がうまく調和されて、新機軸を感じました。シリーズでやって欲しいくらいでしたね。

「用心棒」も崔洋一でやるとか言う話しも聞いてますが…どうなんでしょうかねぇ…。いっそのこと北野武だったら面白そうなんですが。どうしても気になってまた観てしまうんでしょうけど…う~む(^_^;

椿三十郎(平成版)、鑑賞

2008年05月25日 00時11分41秒 | DVD・Blu-ray
DVDがレンタル開始されたので早速…。

あ"~orz

オリジナルに忠実なのは充分わかるのですが、なんででしょう…このツマラナサ…。ラストの「あばよっ」の名セリフ…何も心に響くモノがありません。笑えるところも笑えません。重たいところも軽い…。織田裕二の変なクセのある口調も何を意味するのかもわかりません。いつも通りに普通にやれば良いのに。

三船敏郎がこの作品の時点で42歳、織田裕二は40歳。関わった年齢差はほとんどないのに何でしょう、このキャラクターの厚みの違いは。織田三十郎は薄っぺらいインチキ侍にしか見えませんでした。若侍役で丁度良いくらいにしか見えませんし。豊川悦司も同様にイマイチ。ギラギラしていた仲代達矢に対して、カサカサして逆に年寄り臭い感じです。

森田監督の黒澤版への畏敬の念は伝わりましたし、脚本もほとんど弄ってなく忠実に…という主旨も判るのですが、リメイクする意味って何なんだろうと疑問に感じてしまいます。これなら先日の「隠し砦の三悪人」の方が、まだリメイクの意義を感じることができました。「別物」として観ることができましたし、少しは良いところもありましたから。でも本作は別物ではなく、正にそのもの。それだけに演出の意図や俳優の演技に終始違和感だらけでした。新しい切り口みたいなモノを見いだせない限り、リメイクはしない方がいいと言ったところでしょうか。

それから…せめて、衣装に気を遣って欲しかったです。織田三十郎の汚れも擦れもない、まるで昨日おろしたばかりみたいなキレイな着物にも呆れました(^_^;