また一人、昭和のイメージ濃い名優が鬼籍に入られました。
86歳と高齢ですが、病気をされていたようでもなく、スポーツジムのサウナで倒れ、そのまま亡くなったとのことです。
不謹慎かもですが、なんとなく演じてきた役柄を想起させるような...。
加藤さんと言えば、「犬神家の一族」など金田一耕助シリーズに登場し「よし!わかった」と手でポンして笑いを誘う、等々力警部が有名ですが、私的には黒澤明作品の最も油が乗った昭和30年代に多く出演されたイメージが強い方です。
思い出に、最も好きな作品二つを取り上げます。
一つは「隠し砦の三悪人
」
冒頭にちょっとだけ登場する落ち武者の役ですが、これが物凄いインパクト!
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血まみれの落ち武者、ドドーン!と登場!もちろん加藤さん(^_^)物凄い形相です。
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すぐに追っ手の騎馬武者に槍で嬲り殺しにされます。槍の切っ先がちゃんと胴体に当たり、食い込んでいるのも素晴らしい!
もんどり打って倒れる落ち武者・加藤さん!
ターンして騎馬武者が戻ってきますが...。
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加藤さんと馬の距離がギリギリかそれ以上の接近で、あきらかにヤバイ近さに><:
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加藤さん、無意識に倒れた角度が変わってしまってます(^_^;
ここのシーンについて語る加藤さん(^_^)(同作特典映像『創ると云う事は素晴らしい!』より)
「現場に行ったら馬で何十騎...なんかね、前方に箱がおいてあるんですよ!それに向かって突進してバーンと箱を突いてる練習をしているんだ」
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「あの箱なんだって聞いたら、あの箱が加藤さんですよって...もう帰りたくなった!」
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「槍は突っつくと引っ込む仕掛けになってるけど、そんなにうまくない、痛いんだよ!痛い!痛い!ガンガンガン!加減はしないし、馬に乗ってるから勢いはついてるし」
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「それで倒れて、それで向こうへ行ってまたUターンして、オレの枕元をバーーーーっと駆け抜けていくんだもん。オレその間死んでんだよ(笑)」
「そしたらカーンと音がした!ハッとしたらね、一瞬身体がね、ひっくり返っているんだよね。当たったんだよ!馬は踏まないっていうけどウソだよ、踏むんだよ!」
撮影に際し、お守りをたんまりと仕込み、衣装を解いたときにバラバラ~っと風に散った様が恥ずかしかったと(^_^;
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もう一つは、「悪い奴ほどよく眠る
」
三船敏郎演ずる主人公・西をサポートする、友人・板倉。ルパン三世の相棒・次元みたいな役どころで、同作では重要なポジションです。
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巨悪へ復讐するため計画を実行していきますが、終盤で潰され、西は闇へと葬られ、アジトで絶望する板倉を激しく演じています。
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この作品についても映像特典で当時を振り返り、楽しく語ってます(^_^)
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「当時はコッペパン囓ってたみたいのがねぇ、そういう生活でしょ?それがジッポのライター?バチッとやってね、フィリップモーリスかなんか吸ってるとかさ、そういう役だもん」
遊び人風の役なので、黒澤さんから遊びに行ってこいと言われてもカネもなく、売れっ子だったフランキー堺にキャバレーとか連れてってもらったと(^_^)
痩せてもいたんで、胸のところに肉襦袢もつけて役作りしていたそうですが、「暑いんだよ~肉着てるから(笑)」
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それでも黒澤さんから、受話器の持ち方、ドアの開け方、チャーハンの食べ方、歩き方に至るまでダメだしが続いて参ったと。
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「パンフォーカスでしょ?熱いでしょ?」
カメラからどの位置にあっても焦点が合うよう、強い照明を当てる手法ですが、スタジオ内の温度が物凄く、共演していた藤原鎌足さんが吐いてしまったと。頭から煙が立つほど強烈だったらしいので、そりゃ気分も悪くなりますよね(^_^;
そんな中で、なんどもNG出してしまい...。
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「長いんだよ三船さんと藤原さんのやり取りが、オレが出てくるとダメになっちゃうんだから!そっから撮るワケにいかないでしょ」
三船さんは嫌な顔一つしなかったと。それ以来、三船さんに足向けて寝られなかったそうです。
そして衝撃のラストシーン...それまで散々NGを出してきたものの、このシーンは割りとスムーズだったと。
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「できてきたかどうか知らないけど、やっと、少し慣れてきたんじゃない?」
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「慣れたというか、できた途端に終わりだよね(笑)...そういうもんなんだよ」
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軽妙洒脱にお話しする加藤さんですが、最後の「そういうもんなんだよ」という方の力が抜けたコメントが、今となっては彼の役者人生を総括しているようにも聞こえてしまいます。
アクが強いが、飄々とした軽さも兼ね備え、正義感ある役も、悪役も演じ分ける力量ある職人的な役者俳優だったと思います。
お疲れ様でした...。
ご冥福をお祈りします。合掌。
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86歳と高齢ですが、病気をされていたようでもなく、スポーツジムのサウナで倒れ、そのまま亡くなったとのことです。
不謹慎かもですが、なんとなく演じてきた役柄を想起させるような...。
加藤さんと言えば、「犬神家の一族」など金田一耕助シリーズに登場し「よし!わかった」と手でポンして笑いを誘う、等々力警部が有名ですが、私的には黒澤明作品の最も油が乗った昭和30年代に多く出演されたイメージが強い方です。
思い出に、最も好きな作品二つを取り上げます。
一つは「隠し砦の三悪人
冒頭にちょっとだけ登場する落ち武者の役ですが、これが物凄いインパクト!
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血まみれの落ち武者、ドドーン!と登場!もちろん加藤さん(^_^)物凄い形相です。
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すぐに追っ手の騎馬武者に槍で嬲り殺しにされます。槍の切っ先がちゃんと胴体に当たり、食い込んでいるのも素晴らしい!
もんどり打って倒れる落ち武者・加藤さん!
ターンして騎馬武者が戻ってきますが...。
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加藤さんと馬の距離がギリギリかそれ以上の接近で、あきらかにヤバイ近さに><:
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加藤さん、無意識に倒れた角度が変わってしまってます(^_^;
ここのシーンについて語る加藤さん(^_^)(同作特典映像『創ると云う事は素晴らしい!』より)
「現場に行ったら馬で何十騎...なんかね、前方に箱がおいてあるんですよ!それに向かって突進してバーンと箱を突いてる練習をしているんだ」
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「あの箱なんだって聞いたら、あの箱が加藤さんですよって...もう帰りたくなった!」
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「槍は突っつくと引っ込む仕掛けになってるけど、そんなにうまくない、痛いんだよ!痛い!痛い!ガンガンガン!加減はしないし、馬に乗ってるから勢いはついてるし」
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「それで倒れて、それで向こうへ行ってまたUターンして、オレの枕元をバーーーーっと駆け抜けていくんだもん。オレその間死んでんだよ(笑)」
「そしたらカーンと音がした!ハッとしたらね、一瞬身体がね、ひっくり返っているんだよね。当たったんだよ!馬は踏まないっていうけどウソだよ、踏むんだよ!」
撮影に際し、お守りをたんまりと仕込み、衣装を解いたときにバラバラ~っと風に散った様が恥ずかしかったと(^_^;
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もう一つは、「悪い奴ほどよく眠る
三船敏郎演ずる主人公・西をサポートする、友人・板倉。ルパン三世の相棒・次元みたいな役どころで、同作では重要なポジションです。
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この作品についても映像特典で当時を振り返り、楽しく語ってます(^_^)
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「当時はコッペパン囓ってたみたいのがねぇ、そういう生活でしょ?それがジッポのライター?バチッとやってね、フィリップモーリスかなんか吸ってるとかさ、そういう役だもん」
遊び人風の役なので、黒澤さんから遊びに行ってこいと言われてもカネもなく、売れっ子だったフランキー堺にキャバレーとか連れてってもらったと(^_^)
痩せてもいたんで、胸のところに肉襦袢もつけて役作りしていたそうですが、「暑いんだよ~肉着てるから(笑)」
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それでも黒澤さんから、受話器の持ち方、ドアの開け方、チャーハンの食べ方、歩き方に至るまでダメだしが続いて参ったと。
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「パンフォーカスでしょ?熱いでしょ?」
カメラからどの位置にあっても焦点が合うよう、強い照明を当てる手法ですが、スタジオ内の温度が物凄く、共演していた藤原鎌足さんが吐いてしまったと。頭から煙が立つほど強烈だったらしいので、そりゃ気分も悪くなりますよね(^_^;
そんな中で、なんどもNG出してしまい...。
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「長いんだよ三船さんと藤原さんのやり取りが、オレが出てくるとダメになっちゃうんだから!そっから撮るワケにいかないでしょ」
三船さんは嫌な顔一つしなかったと。それ以来、三船さんに足向けて寝られなかったそうです。
そして衝撃のラストシーン...それまで散々NGを出してきたものの、このシーンは割りとスムーズだったと。
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「慣れたというか、できた途端に終わりだよね(笑)...そういうもんなんだよ」
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軽妙洒脱にお話しする加藤さんですが、最後の「そういうもんなんだよ」という方の力が抜けたコメントが、今となっては彼の役者人生を総括しているようにも聞こえてしまいます。
アクが強いが、飄々とした軽さも兼ね備え、正義感ある役も、悪役も演じ分ける力量ある職人的な役者俳優だったと思います。
お疲れ様でした...。
ご冥福をお祈りします。合掌。
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