どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

食に感じるエロス

2025年02月24日 16時50分00秒 | 話題
マルちゃん「赤いきつね」のウェブCMが物議を醸しているという。


TVドラマだか見て感動しつつ、カップ麺をすする女性...という情景なのだが、これが一部の視聴者にとって性的でキモイものに感じられ批判されているようだ。

描写のポイントは誰にでも思いつきそうな要素盛り盛りで非常にわかりやすい。
・紅潮した頬
・多色光彩に満ちた瞳
・潤んだ目元
・囁くような声
・髪を掻き上げる仕草
・麺をすする口元
・麺をすすり、汁を飲み込む音声

その他、室内の造りが不自然で生成AIによるものではないかという意見も。

まぁ...自分としてはそれぞれの要素が強調しすぎで、シズル音もうるさく、全体的に過剰でセンスが良いとは言えない映像だなと...。

とは思いつつ...意識しなければ一瞥してスルー、特に印象にも残らず良いも悪いも感じなかったであろうCM...という感じ。

TV用ではなく、ウェブCMなため、繰り返しジックリ見てしまうことになるから、気になる人も一定数いるんだろう。

だが、もともと食事を描写すると異化効果が発生するのは判りきったことだ。

生物としての生存本能を満たす行為であり、それはエロスに繋がるのは当然のことで。

この話題で思い起こしたのは小津安二郎監督作「麦秋」である。

同作には食事するシーンが多く、そのシチュエーションも多肢多彩。



その中でも際だっているのは終盤、家族の反対を押し切り結婚を決意する娘(原節子さん)が一人お茶漬けをすするシーンだ。

1分にも満たない尺だが、お新香を囓り茶漬けをすする様子を淡々と見せている。

だが理解されなくても信念を貫き、前向きに生きていこうという娘の気持ちが良く出ていて、見る者に力強く響いてくる。

自分はそうでもないが、人によっては色気さえ感じてドキドキするらしい。

スッピンの美しさがエロスとして滲み出ているのだと(監督小津が女優原節子という素材を一番うまく使えた所以でもある)。

要するにこのお茶漬けシーンは娘が虚飾を捨て去ろうとする気持ちを引き算で描いているのだ。

それに対してCM「赤いきつね」の女性描写は、思いつく要素盛り盛りの足し算なワケで。

両者に共通するのは女性が一人食事する事だけであり、テーマも意味合いも丸で違うから比較してもしようが無いのだが、印象の善し悪しは紙一重だなとも感じた次第...(´д`)




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