~ 姫路市書写の里・美術工芸館 ~
この美術工芸館は
西国三十三か所27番札所・円教寺のある書写山の麓にあり、
竹やぶに囲まれた閑静な雰囲気の中にあります。
当館の特徴は緩やかに湾曲した大きな瓦屋根と赤い柱、
美しい自然に囲まれた書写山の風景に溶け込むように
円教寺の建物に似たイメージでデザインされたそうです。
今回は羽柴秀吉の時代に技術が書写山にもたらされた「書写塗」、
それと同時期に「天空の城」として知られる「竹田城」の
城主(赤松広秀)の命により竹田城付近で作られた「竹田塗」、
古くから漆の産地として知られる貴重な「丹波漆」についての
紹介、展示を観るためにやって来ました。
1階の常設展では地元出身の清水公照師(元東大寺管長)の
ユーモアあふれる泥仏が階段状に展示されています。
この泥仏は公照師が東大寺幼稚園の園長時代に
子供たちが紙粘土を楽しむのを見てヒントを得て
作り始めたと言われています。
それぞれの仏様は温かみのある作風で心が和みます。
「池の鯉は2、3日の間泥を吐かせないと臭気が抜けないという、
私は、この泥仏づくりで自分の中にある泥を吐き出している」
*清水公照著「おかげさんの心」より*
~ 説明版より ~
書写塗は実際に円教寺で使われていたものが展示されています。
小さなものは食器から、歴史の重みが感じられる大きく立派な
調度品は迫力があって見ごたえ充分でした。
竹田城城主の赤松広秀の実際に使われた
膳一式も展示されていました。
「丹波の漆」についてはビデオで約1時間
漆の木を育てるところから、「漆かき」までを
詳しく見ることが出来ます。
日本産の漆がいかに貴重なものかよく分かりました。
漆は海外では「ジャパン」と呼ばれるにも関わらず、
現在使われている国産漆は全体の3%以下とのこと。
質の良い日本産の漆を再び「ジャパン」の名に相応しく
昔のように、多くの食器、調度品などに使っていけるよう、
保護、発展出来る方法はないものかと考えさせられました。
同時開催では、播磨の刳物師(くりもの)
「山名秀圭」生誕100年の企画展示があります。
精緻な作品が多数展示されており、刳物、彫物に
興味のある方には是非にとお勧めの展示です。
館内には郷土の伝統工芸品が展示されています。
①明珍火箸(みょうちんひばし)
茶室用の鉄火箸を風鈴にしたもの。
大小の風鈴が吊られていて実際に叩いて音色を楽しめます。
澄んだきれいな音色でした。
②姫路はりこ
張り子は型に紙を貼り重ねて作ったもの。
お面や玩具などが作られています。
③姫山人形
木彫りの童女の愛らしいお人形さんです。
④姫路こま
カラフルな色つけが美しいこまです。
長く回り続けることが特徴で、
地元では「福が回る」「自立を促す」とされ、
縁起物として
子供の誕生などに贈られる風習があるようです。
そう言えば、
男児の節句に飾られているのを見たことがあります。
⑤姫皮細工
姫路特産の白く皮をなめした牛革の細工です。
型押し、手描きの絵付けがされ
財布やペンケース、バッグなど種類も豊富です。
これは、昔買った印鑑入れです。
姫路のお土産にいかがでしょう。
* * *
姫路こま、姫路はりこなどの絵付けなどが
体験できるコーナもあります。
開催日等はネットで調べられるかお問い合わせくださいね。
なお、書写山の壽量院では書写塗を用いて
壱の膳から五の膳までの精進本膳料理を頂くことが出来ます。
予約のみ受け付け、五人から。
私もいつかゆっくりとお邪魔したいと思っています。