この写真は昭和13年2月3日に行われた結婚式の写真です。
縦21cm、横27cmの大きな写真で保存状態がよいため出席者の顔がよくわかります。
もう77年前の写真ですからこの中で存命の方はほとんどいないでしょう。
見知らぬ人々が居並ぶ中で、主人の祖父母が新郎新婦の脇に立っているのがわかりました。
位置的にみると、どうやら仲人として出席したようです。
天井が高く重厚な趣の室内、丸髷を結った女性、丸眼鏡やちょび髭、ポマードで整髪した男性、、
この写真から古き良き時代の雰囲気が感じられます。
義母が昨年施設に入居してから主人の実家は無人となってしまいました。
時々帰っては家の中の整理をしているのですが、今回はこの写真を含む
たくさんの古い写真を発見して持って帰って来ました。
この写真の時期には主人の祖父母家族は中国の大連にいましたから、ひょっとすると
この式場となった会場は大連の大和ホテルではないかと思い調べてみますとやはりそうでした。
こちらの写真は「大連賓館公式ホームページ」からお借りしました。
比べてみますと、壁の装飾、暖炉のデザイン、暖炉の脇の大きな絵画、窓の形、丸テーブル、
椅子のデザイン、壁に掛けられたランプの下の扇風機も同じく、しかもアングルもほとんど同じでした。
この大和ホテルは1914年の3月に竣工して、同年8月に営業が開始されましたから、今年で101年になります。
現在では「大連賓館」と名を変えましたが、今でも現役のホテルとして営業が続けられています。
2002年に大連生まれの主人の叔父を伴い訪れたことがあります。その時にはこの写真の存在を知らず、
まさか祖父母と同じホテルの一角に佇んだなどとは思いもよらずにいました。
知っていれば、もっと深い感慨を持って同じ空間を楽しむことが出来たでしょうね。
それにしても、時の流れをしみじみと感じさせるこの古い写真の数々、
歴史の一幕を語るものとして、後世に残すべき貴重な資料になるのかも知れませんね。