マヤ文明展のご紹介は今回が最終回です。
マヤの王様や王族の生活の一端を
チョコレート飲料、マヤ文字、宗教劇の仮面などからご紹介したいと思います。
*~ 周囲の器は、チョコレートを飲むためのカップ ~*
ここで、館長さんからの説明で驚いたことは
「チョコレートはマヤの王族のためだけの神聖で美味しく
そして長生き出来る健康飲料だった」
そして
実際に王たちは庶民よりずいぶん長生きだったとのこと。
※カカオは熱帯アメリカ原産の植物で、ココアやチョコレートの原料。
*~ 王の文字・マヤ文字 ~*
古代中南米唯一の複雑かつ芸術的な文字であるマヤ文字は、
当時の王家の生活、儀礼、時と暦、戦争、神々の世界等を今に伝えている。
マヤ文字は漢字やエジプト文字と同様に
表意文字+表音文字(正式には音節文字+表語文字)から成り立っている。
つまり、漢字と仮名に相当する文字があり、
漢字の旧字体と簡略体のような書体や、芸術的に文字を崩す自由度も持っている。
*~キリスト教への改宗と祭り、そこで使われた仮面~*
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キリスト教の宣教師たちは、スペインの征服者たちと共に
マヤ地域に入り、各地に教会を建て布教を行った。
彼らは多神教のマヤの宗教を邪教と断じて排斥したが、
改宗をスムーズに行いカトリックの聖人を崇めさせるため、
聖人に先住民の神をだぶらせて祈る混合信仰も容認した。
またキリスト教をより身近に感じられる祭りも盛んに催した。
これらの木製面は
そんな宗教劇祭りのための道具だった。
マヤ文字を蛇腹式で立派な樹皮紙のノートに記載し、
石碑に刻んだ書記たちは、王族の中の超エリートでした。
すなわち、マヤ文字は王=王族の文字だった。
書記たちは王室文書司書、歴史家、系図学者、税務官、
婚姻や儀式の進行者、さらに天文学兼数学者といった
幅広い役割も果たしていたため
彼らにはアフ・イツァート=賢者の称号が与えられました。
*~ 紋章文字 (石碑風レプリカ)~*
左は「ティカルの紋章」
モチーフは鉢巻きを絞めた頭部。
※鉢巻を絞めるというのは、王に即位することを意味した。
右は「カラクムルの紋章」
ティカルと並ぶ二大超大国の一つにして、最大のライバルである
カラクムルはカーン(蛇)と呼ばれ恐れられていたので
紋章のモチーフも蛇でした。
*~ ティカルの石碑 26 拓本 ~*
国名 グアテマラ
出土地 マヤ低地南部
時代 古典期前期 紀元450年
ティカル歴代の王の名が刻まれています。
*~ 土製印章(ボディぺイティング用) ~*
国名 グアテマラ
出土地 南部高地
時代 古典期前期 紀元250年~600年
左が「ウサギ」、右は「サル」が彫られている。
実際に腕にペインティングした様子。
特別な植物(ハグア)の樹液をつけて肌に押し付けると
しばらくして黒い模様が浮き出て、一週間くらい取れない。
※記事は会場の説明版と館長さんのお話より。
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マヤ文明といえば
知っていたのはピラミッドのような遺跡のことくらいでしたが
この度
マヤの王様が健康飲料として、チョコレートをたっぷり飲んでいたとか、
複雑かつ芸術的なマヤ文字の存在など
多くのことを学ぶことが出来ました。
次の展覧会はどんな内容でしょう。
今から楽しみです。