~ 国宝 薬師寺展のポスター~
*~歴史的展覧会~*
2008年 平城遷都1300年を記念して
「国宝薬師寺展」が東京国立博物館で開催された。
日本仏教彫刻の最高傑作のひとつとして知られる
金堂の日光・月光両菩薩立像が2体揃って寺外で
初めて公開されるとあって、80万人に届こうかという
多くの入場者を動員し、天皇陛下も御覧になったという
歴史的展覧会となった。
~ 日光・月光両菩薩の御背中 ~
この写真は、日光・月光両菩薩を拝観したその同日に
息子のアパートでTVを見ていた時にタイミングよく
放映されたものである。
携帯で写したもので写りは良くないが、両菩薩の御背中が
一つの画面で見られるとは、こんな幸運なことはない。
威風堂々とした御背中の雰囲気が良く現れていた。
*~空前の仏教美術展覧会~*
この展覧会は、教科書でも知られる絵画の名品「吉祥天像」や
瑞々しく美しい「聖観音立像」など貴重な文化財が揃って
初めて寺外で展示されるという空前の仏教美術の展覧会でもあった。
*~堂々たるスケール~*
身丈 日光菩薩立像が317.3cm、月光菩薩立像が315.3cm
一般的な家屋では2階の床を突き破ってなお50cmほども
お顔が現れる御身丈であり、脇侍としては堂々たるスケールである。
*~尊崇の念抱く 日光・月光両菩薩の御背中~*
薬師寺金堂においては光背の前に立っておられるので
背部は目にすることが出来ないが、この展覧会では
その光背が外され、360度の視点で拝観することが出来た。
そこで驚いたことは、なよやかで美しい前面の姿からは
想像もつかない武人のような御背中の力強さだった。
そのどっしりと威風を放つ姿に衝撃を受け、
しばらくその場に釘付けになってしまった。
ある仏師は「仏像は仏様が降りてきて出来上がる」と言ったらしいが、
両菩薩の御背中から発せられる「大きな気」を感じた時に、
この菩薩の仏師は、まさに仏様と一心同体となっていたに違いない、
と思った次第。
深く感動した展覧会であった。
※ この記事は過去に掲載した記事に加筆修正したものです。
先日、読売新聞で「復興祈り法要」との見出しで薬師三尊像の
等身大の軸が掛けられたとの記事を読み、
展覧会での感動を思い出し再度アップしました。
参考: 「よくわかる仏像の見方」 西村公朝著 小学館
「国宝薬師寺展パンフレット」 東京国立博物館