先日、読売新聞の投書欄に、
新幹線内に忘れた携帯電話が戻ってきたとの70代の男性の投書があった。
その冒頭に「日本では、忘れ物が持ち主の元に戻ってくることがある。
善意と対応の速さが海外で称賛されているそうだ。」とあった。
その善意でいうと、私にも感動した事柄があったことを思い出した。
~ 戻ってきた大学の卒業証書 ~
もう○○年も昔の話。
大学の卒業式が済むと故郷に戻って、
勤務地に赴任するまで実家で過ごしていた。
そんなある日、長細い包みが私宛に届いた。
見ると、差し出し人は見ず知らずの人。
母と「なんだろうねえ?」といぶかりながら開けてみると、
なんと!私の卒業証書ではないか!
てっきり持ち帰ってきたと思っていたので、
狐につままれたようだった。
中に簡単な送り状が入っていたので見ると、
「あなたの住所は大学に問い合わせました」とのみあって、
送り主の住所や電話番号などは書かれていなかった。
こんな大事な物をどこで落としたのか皆目見当もつかない。
自分の間抜けさに呆れながらも、無事に再び手に出来た幸運を喜び、
何の見返りも期待せずに送ってくれた善意の人がいたことに感動した。
また、今なら住所などの個人情報を大学が教えることはないが、
この頃はまだ社会もゆったりしていて、人心ものどかな時代、
大学は何の不信感も抱かずに、かえって感謝しながら
住所を伝えたのだろうと思っている。