「暑いでしょう?」 いきなり駅のホームで40代くらいの男性に声をかけられた。
「ええ、暑いですねぇ」 とお答えした。
それにしても、この幼稚な言葉をどう理解したらいいのだろうか?
いったい、この男性は着物姿の私に何が言いたかったのか?
自分は半そでに短パン姿で涼しくて、私が妙に暑苦しく見えて可哀想に思ってくれたのか、、
単純にそれだけの理由なら「余計なお世話」である。
または、暑いのに「着物を着ていること」をからかいたかったのか?
暑くても、用あってきちんとスーツにネクタイ姿の男性に「暑いでしょう?」などと言うのか?
先だって、東京都議会でのセクハラやじが問題になった。
いい歳の男性が、大人になり切れていないと感じさせる出来事だった。
この「暑いでしょう?」の言葉が「暑いですね、それにしても涼やかなお姿ですね」とでも
なっていたなら、「素敵な男性!」と思って、後ろ姿をしばしうっとりと眺めたかも知れない。
涼やかに着る
紗紬の着物
紗とは言っても、本当の紗ではなく、玉糸のより糸を用いた薄地の平織り物で
紬の風合いを持つ夏用の先染めの着物である。
新潟で織られた物で、大島紬風の絣柄が織り込まれている。
黒地で一見暑そうだが、布目から風が通り抜けて意外と涼しい。
紗の帯
白地に薄(すすき)と葛(くず)の涼し気な模様。
下側を紫色で染め、白地のぼんやり感を引き締めている。
変わり組紐
白と紫の糸で、縄を編むように編まれている。
見るからに涼感たっぷりの帯締めである。
夏に着物を着る、ということは結構覚悟がいるものだ。
しかし、いったん着てしまえば暑さもなんのその、かえって気持ちが引き締まって気分がよい。
夏の着物は、しゃっきりと背筋を伸ばして、涼しい顔で着たいものである。
世の男性方、ゆめゆめ「暑いでしょう!」などと言ってはいけません。
*では、また明日お会いしましょう。