私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

幻の焼き物*雲火焼を桃井ミュージアムと田淵記念館で観てきました*兵庫県赤穂市御崎

2022年01月12日 | 美術工芸

~ 桃井ミュージアム・大島黄谷生誕200年記念展ポスター ~




~ 桃井ミュージアムパンフレット ~

雲火焼(うんかやき)は
江戸時代後期から明治時代初期にかけて
大島黄谷(おおしまこうこく)が
赤穂の地で生み出した独特の焼き物です。

雲火焼の特徴は
象牙色の陶膚に茜色、黒色の夕焼け空にも似た
美しい窯変が現れていることです。

大島黄谷は嘉永5年(1852)
この雲火焼の焼成に成功し
第一回内国勧業博覧会でその発明の功績により
花紋褒賞を受賞しました。
しかし
技法は弟子に伝えることなく生涯を終えました。



~ 雲火焼展示館 桃井ミュージアム ~

黄谷亡き後、その陶法を伝える人もなく文献もなく
雲火焼は幻となってしまいました。

その雲火焼の素朴で気品あふれる作品に魅せられて
瀬戸内窯の桃井氏、長棟氏の両氏が
復元への夢を抱いて試行錯誤しながら
ようやくその復元にこぎつけました。

※以上、桃井ミュージアムパンフレットより

* * *

当初より夢を追って一生懸命だった姿を思い出しますと
夢を叶えたお二人の努力が実って
心から良かったねと私も嬉しく思います。

この度の展示では
大島黄谷の御子孫から、門外不出だった陶土をご寄付頂き
その土で焼いた作品も展示されています

こちらのミュージアムでは展示だけでなく
花器やお茶碗、小物などの作品を展示販売しています。

年代物の美しいお盆で出されるお抹茶
ミュージアム特製のお饅頭も美味しかったですよ。



~ 赤穂市立工芸美術館 田淵記念館 ~

田淵記念館は
江戸時代初期より塩田、塩問屋などを営んできた田淵家より
平成6年、美術品、古文書類、茶道具、婚礼道具などが
赤穂市に寄贈され、それを展示、保存施設として
平成9年に開館しました。



~ 田淵記念館・大島黄谷生誕200年記念展のポスター ~

今回は特別展として
雲火焼の始祖「大島黄谷」の作品と共に
黄谷に陶技を教えた「作根弁次郎」の作品も展示されていました。

今まで名前が似ていて、混乱していた雲華焼と雲火焼との違い
この度の展示、解説でよく分かり、有難い特別展でした。



田淵記念館の特別展は終了しましたが
桃井ミュージアムでの特別展は3月14日まで。
まだ時間はありますので
是非、幻の雲火焼と再現された雲火焼をご覧下さい。


 




コメント (12)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 山形の斑朱銅花器に千両と松... | トップ | *越冬中のウラギンシジミの... »
最新の画像もっと見る

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
越後美人さんへ (遅生)
2022-01-12 11:34:46
雲火焼、全く知りませんでした。
本当に幻の焼物ですね。
門外不出の陶土を使って再現に成功するなどドラマと勘違いするほどです。一生懸命に取り組んできた人たちの努力には頭が下がります。
桜井ミュージアムもキリっとした良い館ですね。
いろいろ、勉強になりました。
返信する
雲火焼 (ran1005)
2022-01-12 14:47:04
雲火焼なる焼き物が有る事、初めて知りました。
象牙色の陶膚に茜色・・・
萩焼の肌にも似て見えますネ。
黒色の夕焼け空・・・
何処か楽焼を彷彿とさせる様な?
美しい窯変が現れている陶器の数々が展示されているなんて魅力的ですネ。
雲火焼きと雲華焼の一番の違いは何なのですか?
興味深いです。
返信する
雲火焼 (イケリン)
2022-01-12 16:05:15
越後美人さん
焼き物にも造詣の深い遅生さんがご存知なかったぐらい
ですから、幻の焼き物というのもうなづけますね。
門外不出の陶土のご寄付なくしては、再現できなかった
焼き物が試行錯誤の末に日の目を見たとは嬉しいことですね。
その作品に接することができた越後美人さんも幸運でした
ね。
返信する
雲火焼 (fukurou)
2022-01-12 18:41:31
越後美人様
こんばんは。
雲火焼、初めて知りました。
資料も文献もない所から雲火焼を再現された努力は大変なものだったと思います。
素敵な色あいの焼き物ですね。
少し自分でも調べてみたいと思います。
返信する
越後美人さんへ (Dr.K)
2022-01-12 20:11:42
私も、雲火焼というものを初めて知りました。
地元でも幻の焼物だったのですね。
後世、それを復元したという話にもロマンを感じます(^-^*)
返信する
知らない事 (tyako)
2022-01-12 20:25:03
こんばんは。
雲火焼ですか・・・初めて聞いた名前です。
焼物は好きで各地の焼物も結構訪ねて歩きましたが、初めて聞きました。
焼物もたくさんあるんですね。
勉強させていただきました。
返信する
遅生さんへ (越後美人)
2022-01-12 21:18:53
こんばんは。

雲火焼は黄谷一代で絶えてしまいましたので、長い間幻の焼物と言われていました。
私がそれを知ったのは20年ほど前です。
その頃、桃井氏と長棟氏が土作りから試行錯誤で、復元に向けて研究をしていました。
土作りで苦労されていたようです。
それが昨年、御子孫から陶土のご寄付があって、まさに雲火焼が蘇ったわけです。
本当にドラマのようですね。
5月には赤穂段通の展示があるようです(^_-)-☆
返信する
ran1005さんへ (越後美人)
2022-01-12 22:13:53
こんばんは。

歴史から言いますと雲華焼の方がずいぶん古いです。
雲火焼の焼成成功が江戸後期から明治初期なのに対して
雲華焼は江戸前期には焼かれていて、乳白色の地にぼやけた黒斑があるのが特徴です。
その点、雲火焼はよく似ていますが、黒斑の他に赤く燃え上がるような
夕焼け空を連想させる紋様が特徴です。
出来上がりの陶膚はつるりとしていてそっくりです。
陶土と焼成の仕方が似ていた、あるいは同じだったのでは?と考えられます。
焼かれた時代と場所が違いながら、似たものが出来るのはロマンがありますね(^_-)-☆
返信する
イケリンさんへ (越後美人)
2022-01-12 22:23:33
こんばんは。

わずか一代で消えてしまった技法です。
長い間ひっそりと眠っていたかのようですね。
それを再現しようと夢を追った桃井氏と長棟氏の努力に拍手ですね。
その頑張りがあって、御子孫からの陶土が頂けてまさに天の恵みのようでした。
黄谷さんも現代に作品が甦るとは思っていなかったでしょうね。
私も今回実物が見れて良かったです(^_-)-☆
返信する
fukurouさんへ (越後美人)
2022-01-12 22:32:42
こんばんは。

雲火焼の名は黄谷さんの命名らしいです。
名の示すように、表面に燃え上がる緋色が出るのが美しい焼き物です。
参考になるものが何もないところから、よくここまでやって来られたと思います。
お二人の根気と情熱がずっと続いたのがすごいですね。
御子孫から寄付された土で、今回は焼いたものも展示されています。
調べられて何か分かりましたら教えて下さいね(^_-)-☆
返信する

コメントを投稿

美術工芸」カテゴリの最新記事