これ、チラシがあまりよくないなぁ。
もっと取っつきやすい図案に
すればよかったのに。
「愛しきソナ」71点★★★☆
「ディア・ピョンヤン」(05年)で注目された
在日コリアン2世
ヤン・ヨンヒ監督2作目のドキュメンタリーです。
大阪で生まれ育ったヤン監督は
6歳のとき
3人の兄がピョンヤンへ行き
以来、両親と自分は日本に
兄たちの家族は北朝鮮にと
わかれわかれになり暮らしている。
ヤン監督は1990年代から
ちょくちょくピョンヤンを訪れ
家族の暮らしぶりをビデオに収めてきた。
今回は次兄の娘で
彼女にとって姪っ子にあたる
少女ソナにフォーカスし
彼女との10年以上にわたる交流と、成長の記録、
そしてソナたちのピョンヤンでの暮らしぶりを
中心に描いています。
「ディア~」とダブるエピソードもあるけど
ソナ=ピョンヤン側に視点を変えることで
向こうの人々の暮らしぶりが
より詳細に映されているのがおもしろい。
兄たちが暮らすアパートの様子や
しょっちゅう停電する生活事情、
コンクリート舗装ガタガタの道や
「お、意外にビルが多い」などなど
風景の珍しさに加え
「え?」という結婚事情まで紹介されたり。
(まあこれは、ソナのお父さんの社会的地位など
特別な事情によるものかもしれませんが…)
見ながら
「家族ってどこも同じなんだなあ」という
しみじみと親しみのわく瞬間があるのと同時に
何十年も同じ演目を演じ続ける劇場など
“時間の止まった国”の不気味さも
さらっと出てくる。
さらにソナにとって
「大好きな叔母さん」で
ありつづけたいであろう監督だけど
日本で育ち「自分で選択する自由」を
アイデンティティに組み込んだ彼女の
姪っ子への言動は
ときにやや暴走もしていることが
映画には映っている。
偏りのない知識を得て、
さまざまな価値観を知って欲しいという
伯母心でしょうねえ。
でもこの環境ではことさらに、難しい。
監督自身も
たまにやってきては
日本や海外の文化を
姪の日常に持ち込んで去って行く
ある意味、無責任で気楽な
「伯母」という自分の立場の難しさについて
葛藤しているようでした。
それはそのまま
二つの国の距離の表れでもあり。
ヤン監督は
「ディア・ピョンヤン」が原因で
北朝鮮政府から入国禁止を言い渡されているそうで
今後、家族の物語が
どのように続いていくのか
気になります。
★4/2からポレポレ東中野で公開中。4/23から新宿K's cinemaほか全国順次公開。
「愛しきソナ」公式サイト
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