あたしゃね、
こういう映画が
どうしても好きなんじゃよ。
「木洩れ日の家で」75点★★★★
ポーランド、ワルシャワ郊外。
緑深い森にある古い屋敷に
愛犬フィラデルフィアと暮らす
91歳の老婦人アニエラ(ダヌタ・シュフラルスカ)。
彼女は亡き夫との思い出深い
その屋敷を愛しているが
都会に住み
ときおり訪ねてくる息子も孫娘も
ボロ家に興味はなかった。
あるとき
アニエラの元に
「家を売って欲しい」という人物が現れるが――?
古家で犬と暮す
91歳の老婦人の毎日を描き、
しかも映像がモノクロ…なんて
もろ番長好み。
見たらまあ
期待以上にすてきな映画でした。
実際に撮影時、91歳だった女優
ダヌタ・シュフラルスカありきの企画ではありますが
(なんと95歳のいまも現役!)
ほとんどが彼女の独り言と
犬との会話で
成立しているすごさ。
また彼女演じるアニエラが
品がいいのに
ひょうひょうとしてて
実にチャーミングなんです。
たまにしかやってこない
アニエラの息子にすり寄ってく犬に
キツーい皮肉を言ったり
部屋に入ったとたん
「あれ?何しに来たっけ」とつぶやいたり
(ある、ある)
はたまた
可愛いげのない孫娘を
あっさり泣かせてくれたりもしちゃう。
まあなんて爽快で
お茶目なおばあさんでしょう!(笑)
彼女の相棒である
愛犬フィラデルフィアも
信じられないほどの芸達者で驚きました。
こりゃ立派な助演“ドッグ”賞だと思ったら
ポーランドの映画祭で
しっかり“特別賞”を受賞してた(笑)
モノクロの映像も
余韻があって美しい。
古家のガラス越しに
ぼやけた老婦人の像が映るシーンなど
映像表現からも
「老いとはなにか」や
「止めることのできない時間や変化」について
思いを至らせてくれます。
静かに、独り見をおすすめします。
★4/16から岩波ホールで公開中。
「木洩れ日の家で」紹介サイト