ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

阪急電車-片道15分の奇跡-

2011-04-26 23:54:01 | は行

こういう善意の映画も
たまにはホッとしますな。


「阪急電車-片道15分の奇跡-」68点★★★☆


宝塚~西宮を15分で走る阪急電車。
そこに乗り合わせた人々を描く物語です。


曲がったことの大嫌いな
老婦人・時江(宮本信子)。


おませな孫(芦田愛菜)といつものように
阪急電車に乗っていると

そこに
ウエディングドレス姿の翔子(中谷美紀)が
乗り合わせる。


普段はほかの人同様、
都会人の距離感をクールに保っている時江だが
つい翔子が気になり、声をかける。


その様子を
女子大生のミサ(戸田恵梨香)も見ていた。

ミサは彼氏のDVに苦しんでいたが
別れる決断ができずにいる。


さらに
気の弱い主婦・康江(南果歩)や
地方出身の女子大生など

電車に乗り合わせた人々の糸が
すこしずつ絡み合っていき――。



人ともうちょっとだけ関わってみようよ、
そうすれば世界はもっとよくなるよ、という

素直さと善意が感じられる作品でした。


阪急電車の沿線に住む
さまざまな境遇の8人の日常が
編まれていく様子は

なんだかお決まりパニック映画の
予兆のようなんですが、

まあ
そんなことは起こらず(笑)


あくまでもほんわかに
展開します。



原作は「フリーター、家を買う」の有川浩、
脚本は「いま、会いにゆきます」や「おっぱいバレー」
いや、なんたって「ちゅらさん」の岡田惠和。

なんか「ちゅらさん」ですよ、やっぱし。


岡田惠和氏って
「こんなことない、ない」と思いつつも
「でも、あったらいいかもねー」と
思いたくなるドラマ作りが上手。



“善き心”を持った人が前提な清らかさや
悪人のわかりやすい描きかたは
キライじゃないし、


世界も認める
日本人のモラルや高潔さ、といった本質を
ついている気がします。


だから見やすいんでしょうね。


笑いもたっぷりなのに
常にどこか影があるというか
完全な“陽”でないのも
日本っぽいのかも。


特に周囲になかなかなじめない
女子大生(谷村美月)と
男子大生(勝地涼)のエピソードは
まさに「ちゅらさん」テイストだったなあ。


すべての要となって
作品を締めてくれる
宮本信子の存在も大きく、

天才子役・芦田愛菜も達者で

この二人のババ孫コンビが
ウケました。


この沿線に思い出がある人には
特にたまらないでしょうねえ。


★4/29から全国で公開。

「阪急電車-片道15分の奇跡-」公式サイト
コメント
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