ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

引き裂かれた女

2011-04-05 23:10:43 | は行

熟練監督の手業に
引き裂かれたい~!なんちて。


「引き裂かれた女」78点★★★★



プレイボーイな初老の作家(フランソワ・ベルレアン)は
ある日、テレビ局で
若いお天気キャスター
ガブリエル(リュディヴィーヌ・サニエ)を見初める。

ガブリエルは
金持ちの放蕩息子(ブノワ・マジメル)にも
言い寄られているが

若い彼にはないものを求め
作家のモーションを受け入れる。

親密な関係になった二人だが
その先には
思いもよらない運命が待ち構えていて……?!



ゴダール、トリュフォーらとともに
ヌーヴェル・ヴァーグの代表作家である
クロード・シャブロル。

昨年9月に亡くなった彼の
最晩年の作品です。


あらすじだけ書くと
男女の三角関係からなる
単なる痴情話ですが


熟練監督の手業により
ここにえもいわれぬ後味と奥深さが
生まれているんですねえ。


教訓たれることなく
老いと若さ、経験と未熟、愛の情熱とモラルなどを
ただ現象として描き出し


しかも男女間の心理をえぐってくるのに
赤裸々でなく品がいい。

クラシカルなのに若々しく新鮮。


プレイボーイの初老作家が
いかにも『LEON』ちょいワルオヤジのようだったり

またそういうのに
引っかかるんだこういう女が(苦笑)、と

わざとベタにしてあるところに
けっこう笑えもする(笑)。


「スイミング・プール」や「ジャック・メスリーヌ」など
超売れっ子女優のサニエ(なんとすでに二児の母!)がまた

あの独特のポ~ッとしたたれ目と
あぶなっかしい美しさで
ピッタリの役どころです。


中身も“真っ白”な彼女に
真っ白な雪=ドネージュという名を当てるなど
監督のしゃれっ気も光り


ラストで
タイトルの意味がわかったとき「ポンッ」と
膝を打つほど痛快でした。


これぞオトナの世界。
ぜひご堪能ください~。


★4/9から渋谷シアターイメージフォーラムで公開。ほか全国順次公開。

「引き裂かれた女」公式サイト


さてさて
『週刊朝日(4/12発売予定)「ツウの一見」で
いま話題のUstream配信の“DOMMUNE(ドミューン)”でも知られる
五所純子さんに
本作について伺っています。

まだお若いのに
この映画におけるガブリエルの役割、そして
73歳監督が提示した男女の機微を
鋭い視点で切ってくださっております。

要チェックです!




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