観た後に、駅前の飲み屋で
一杯ひっかけたくなるような。
「家族はつらいよ」73点★★★★
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東京郊外の一戸建てに
三世代で暮らす平田家。
一家の長・周造(橋爪功)は
サラリーマンを定年退職し
妻(吉行和子)や
長男(西村雅彦)の嫁(夏川結衣)とも
うまくやっている――はずだった。
しかし、ある夜、妻がそっと周造に差し出したのは
なんと「離婚届」で――?!
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「東京家族」(13年)の俳優たちが再集結。
あちらよりも愉快な家族喜劇になっていて
楽しめました。
橋爪功×吉行和子が一家の主である夫婦で、
妻夫木聡×蒼井優が若いカップルで……と、
家族構成も配置はそのままで
でも、それぞれのキャラクターは微妙に違う、という作りが
興味深いのですが
意外にこれ、役者にとっては
難しかったようです。
プレス資料のプロダクション・ノートによると
山田監督は喜劇だと、より「間」に厳しいそうで
橋爪さんも「監督は前回よりもっと厳密に演出なさっていた」と感じたそう。
でも、出来上がった作品は
愉快で“昭和”な懐かしさを感じる
まさに家族喜劇で、(かつての)サラリーマン哀歌で、おやじ賛歌。
なんといっても橋爪功氏が演じる
昭和の雷おやじ的な主人公がとてもよいんです。
かんしゃく持ちで、口悪く、
喰えない感じで、憎めない。
定年まで家族のために勤め上げ、
「さあ、悠々自適の隠居生活!」というところで、
妻(吉行和子)に
サクッと「離婚してください」と持ち出される。
彼の狼狽いかばかりか――、が
映画の核となっていきます。
そして
息子夫婦に、その子どもまで同居する
三世代同居のにぎやかさ。
親の問題を、子どもたちが集まって
「家族会議」で話合う
うっとうしいけど、その距離のありがたさ。
「下流老人」「独居老人」時代に
この家族の存在自体が
貴重なよき風景として、
フィルムに残されるんだなあと感じました。
★3/12(土)から全国で公開。
「家族はつらいよ」公式サイト