ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

リリーのすべて

2016-03-15 20:37:18 | ら行

これはせつな演技に胸つぶれ系!(泣)


「リリーのすべて」80点★★★★


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1926年、デンマーク。

アイナー(エディ・レッドメイン)は
気鋭の風景画家。

彼ほど有名ではないが
妻のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)も画家で

互いに触発し合う芸術家カップルは
結婚6年目にして
アツアツの仲良しだった。

そんなある日、アイナーは
ゲルダの絵のモデルとして
バレエダンサーの恰好をさせられる。

ためらいながらも
ストッキングを履き、チュチュを身体に当てたアイナーに
いままで感じたことのない感覚がこみ上げてきて――?!


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世界でもっとも早く
性別適合手術を受けたひとりである
実在人物の映画化だそうです。
そういう方がいるんですねえ。

そして、演じるエディ・レッドメイン、
いやぁ、物凄いですねぇ。

昨年「博士と彼女のセオリー」(14年)でオスカー獲ってなければ、
またしてもディカプリオ危うし!だったですねえ。

そう「博士~」の
ホーキング博士もすごかったけど、

ワシはこっちの演技のほうに
より掴まれました。

男として生まれ、大好きな妻と暮らしながらも
しかし、何かに、どこかに違和感を持ち続けている画家。

画家として才能もあるし、
職業柄そういう気質もありなん?
周囲にも思われていたのだろう。

しかし、あるきっかけで
彼のなかの「女性」が目覚める。

そのきっかけとなるのは、急場しのぎのモデル役として
ストッキングを履いたことなんだけど

その滑らかな感触をいつくしむように、
彼のなかの何かが開いていく瞬間の
繊細な演技といったら!

感極まる思いがスクリーンから溢れてきて
やられました。


女であってもそういう感覚を持ち合わせていない自分にも
「なるほど」と思わせるほどで。

しかもそこにベン・ウィショーまで登場するとは……
繊細&胸震わせ演技対決か!(笑)


監督もカメラマンも、カメラをのぞきながら
その演技に引きずり込まれたのではないでしょうかね。

もちろんアカデミー賞助演女優賞を受賞した
アリシア・ヴィキャンデルも
難しい立場になる妻を熱演してる。

それにトム・フーパー監督は
感情を盛り上げる
エモーショナルな音楽使いが抜群にうまいですねえ。

1920年代のデンマーク、コペンハーゲンの街並みも
絵画のように美しいので
ぜひお楽しみください。


★3/18(金)から全国で公開。

「リリーのすべて」公式サイト
コメント
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