見終わるとこの「、」が
「ああ、なんか、わかる!」となります。
「母よ、」70点★★★★
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映画監督のマルゲリータ(マルゲリータ・ブイ)は
さまざまな問題を抱えていた。
新作の撮影がいまひとつうまくいっておらず、
入院中の母(ジュリア・ラッツァリーニ)を見舞っても
所在なく、どうしていいかわからない。
兄(ナンニ・モレッティ)が
手作りの料理を差し入れたりして
母をニコニコさせているのを見て「なんだかな~」という気分。
さらに医師からは
母には回復の見込みがないと告げられてしまい――?
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イタリアの巨匠ナンニ・モレッティ監督作品。
本人、出演もしています。
監督自身がお母さんを亡くした
その体験から生まれた話だそうで
見終わると、この「、」の意味が
すごーくわかる。
「母よ、あなたという人は・・・!」という賛辞でもあり、
もどかしさでもあり、という感じですねえ。
題材からこちらが想像する
“家族ドラマ”とはひと味違って
「泣ける!」という流れでもなく
夢か現実かわかりにくい部分があったり。
かなり変わっているけれど
テーマと余韻は伝わります。
特に母の見舞いに行っても
どう振る舞ったらいいかわからない
不器用な娘の所在無さに「う、わかる――」と自分を投影してしまう。
彼女にはもちろん母へのいたわりの気持ちがあるんだけど、
イライラして母に声を荒げたりもする。
身内ならではの苛立ち、看病する側のしんどさの描写が
とてもリアルで、他人事じゃないなあと。
一面だけでは計れない“人間”の複雑さを
役できっちり表現した女優マルゲリータ・ブイに拍手!でした。
そうか、
「ローマの教室で」(12年)
「はじまりは5つ星ホテルから」(13年)に出てる
あの女優さんか!
★3/12(土)からBunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国で公開。
「母よ、」公式サイト