これは見応えあり!


「人間の値打ち」80点★★★★




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クリスマスの夜、
イタリア、ミラノ郊外で一件のひき逃げ事件が起こる。

そして、時間は事件の半年前にさかのぼる。
小さな不動産屋を営むディーノ(ファブリッツィオ・ベンティボリオ)は

その日、富豪ジョヴァンニ(ファブリッツィオ・ジフーニ)の邸宅にいた。



ディーノの娘セレーナ(マティルデ・ジョリ)が


ジョヴァンニの息子(グリエルモ・ピネッリ)と同級生で

恋人同士になったのだ。



これを期に、とばかりに
ディーノはジョヴァンニに接近し、
投資の儲け話に一口乗せてもらおうとする。


そんな父に娘はうんざり顔だ。

そんなディーノは
家を急いで出ようとする
ジョヴァンニの美しい妻カルラ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)と鉢合わせし――?!



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「グレート・ビューティ/追憶のローマ」を制して
イタリア・アカデミー賞7冠に輝いた作品。



なるほど、納得です。


現代イタリアの上流階級と、中流階級の親子との関わりから
ヒタヒタと人間の中身をえぐる
見応えのあるイタリアンドラマ。

娘が上流階級の息子と付き合ったことから、
そこに入り込もうとする
しがない町の不動産屋。

そんな父の俗人っぷりに
敏感に反応し、嫌悪する娘。

そして
何不自由ないはずの上流階級の夫を持つ妻は
(良作に必ず登場する、テデスキ!)
ぼんやり、フワフワと心ここに在らず――。

この三人の登場人物の視点から、
同じ時間の出来事をそれぞれ追っていくんです。


この方法は
こちら側からはAと見えていたものが
こちら側から見るとBだった――

ミステリアスでおもしろいんですよね。


そして、あの夜の事故から
それぞれの運命が崩れていく――

誰の行動が一番
「人間の値打ち」に値するのか――?!

見終わったあと
辛辣なタイトルを、直球ではなく
胃の腑にじわじわとくるように考えさせるところも
ニクイですな。

★10/8(土)からBunkamura ル・シネマほか全国で公開。
「人間の値打ち」公式サイト