ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

何者

2016-10-14 22:50:24 | な行



「桐島、部活やめるってよ」の
朝井リョウ氏、原作。


「何者」68点★★★☆


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大学生の拓人(佐藤健)は
ルームメイトで同級生の光太郎(菅田将暉)とともに
就活をスタートさせる。

そんなとき
拓人は同級生の瑞月(有村架純)と再会し
就活に燃える彼女のルームメイト、理香(二階堂ふみ)を紹介される。

“意識高い系”な理香から
「じゃあ私たちの部屋を“就活対策本部”にしよう!」と提案された拓人たちは
一丸となって就活を始めるのだが――?!


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いやあ
SNS時代の就活のしんどさが
マジでよ~くわかりました。

それだけでも、けっこう収穫かもしれません。


ここに描かれる就活の大変さは
実際に汗水垂らして、100社を回って・・・というのとはちと違う
(実際はそうだろうけど)。


「一緒にがんばろうね!」とか言っても
結局はライバルである学生同士の現実や、
ツイッターやFacebookなどSNSの時代こその
就活の苦しさ、怖さがメインなんですね。

「私は学生時代、こんなことをやってました!」
「友達、こんなにいます!」
「こんなに充実してます!」
そういうツールでアピールしないと、なんか負け、みたいな。

そこが、ヒヤリと怖い。

でもこれが現実なんだろうな。

いまでは企業の4割が(いや、実際はほとんどだと思う)
学生のSNSをチェックしてるっていうし
まあワシが人事部長でも
やると思う。ハッキリ言って。


そんな時代に、まだ「何者」でもない若者たちが
どうやって「自分」を演出していけばいいのか。

その迷いや大変さが、よくわかるし
その中でダークサイドに墜ちていってしまう主人公の気持ちも
わかるわ。

しかも
企業に自分が値踏みされるしんどさや
不採用の通知をもらったときの
自分の存在が否定されたような絶望感――

これは時代が変わっても、同じなんですよね。

そこがまた辛いつうか。


基本は若者向けの
共感&就活映画なんだろうけど
終盤に向かって
「ホラーか?!」となっていく展開も怖かったなあ(苦笑)


最後が尻切れっぽかったのが惜しいけど
“いま”を知ることができて、ありがたかったす。


★10/15(土)から全国東宝系で公開。

「何者」公式サイト
コメント
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