なぜ、いま、9.11?
その答えが、観たらなんだか、わかった気がした。
「ナインイレヴン 運命を分けた日」72点★★★★
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2001年9月11日、早朝。
ニューヨークのワールドトレードセンタービルの一室で
ある男女が離婚調停をしていた。
ウォール街の実業家ジェフリー(チャーリー・シーン)と
その妻(ジーナ・ガーション)。
彼らは一息入れるため
エレベーターで下に降りようとする。
そのエレベーターには
バイクメッセンジャーのマイケル(ウッド・ハリス)や
ビルの技術者エディ(ルイス・ガスマン)、
美人のティナ(オルガ・フォンダ)が乗り合わせいた。
そして。そのとき。
突然、エレベーターが停止する。
エディはエレベーターのインターコムで
同僚のメッツィー(ウーピー・ゴールドバーグ)に状況を聞くが――?!
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2001年9月11日のあの日。
ワールドトレードセンタービルの
エレベーターに乗り合わせた男女5人。
人種も社会的地位もバラバラな彼らの
運命を描いた作品です。
人気舞台劇が基だそうで、
派手なアクションやエフェクトは一切なし。
地味ともいえるエレベーター内のワンシュチェーション劇は、
「誰もが知る悲劇」という共有でも成り立っている。
何が起こるか、どうなるか、
もう我々、十分にわかっているから
ゆえに
ずっと心臓バクバク。全身に力が入りっ放し。
実はね
やっぱり観る前は
「いまこの題材を描くことの意味は?
憎しみを煽ったりする可能性があるのではないか?
被害者感情はどうなのか?」など
いろいろ考えてしまったんですよ。
でも、観れば強く思う。
どんなに未曾有の悲劇や事件、災害も
どんどん過去になってしまうという事実。
もう16年経ってるんですよね。ひゅううう・・・
そうやって過去になっていく「起こったこと」を
風化させてはいけないのだ、と。
そして、観てよかったと思った。
久々にスクリーンで観る
チャーリー・シーンやウーピー・ゴールドバーグの姿にも
なんだか熱いものがこみあげてきて。
ニューヨーカーである彼らは
友人や知人を多く亡くしながらも
「なぜ、この映画を、いま撮るべきか」を考え抜いて参加したそう。
その思いが、熱を帯びているのでしょうね。
そして
おなじみ『AERA』の取材で
マルティン・ギギ監督にインタビューする機会をいただきました。
ずばり
「トランプ政権下、ますますヤバイ状況下で
憎しみを煽ったりする懸念はなかったですか?9.11遺族の反応は?」と
質問をぶつけてみました。
対する答えは、正直、泣けるものだった。
かなり深いところまで聞けたと思います。
掲載は9/11発売号です。
読んでいただけると嬉しいです!
★9/9(土)から新宿武蔵野館、丸の内TOEIほか全国で公開。
「ナインイレヴン 運命を分けた日」公式サイト