ものすんごいエネルギーに圧倒されます。
それも“土着”な感じの。
「オン・ザ・ミルキー・ロード」71点★★★★
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隣国と戦争中の、ある国。
コスタ(エミール・クストリッツァ)は
激しい銃弾をかわしながら
ロバに乗って戦線の兵士たちに
ミルクを届ける村の配達係だ。
あるとき
村の英雄である兵士の妻として
絶世の美女(モニカ・ベルッチ)がやってくる。
コスタと彼女は一目会ったときから
惹かれ合うものを感じるのだが――?!
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「黒猫・白猫」(98年)などで知られ
世界の名だたるツウ人のリスペクトを受ける
サラエヴォ出身のエミール・クストリッツァ監督による
9年ぶりの長編劇作品です。
監督が主人公を務め、
戦火の村を舞台に
動物と兵士と生と死がロンドを踊る……といった感じで
とにかく、もんのすごいエネルギー。
なんのための戦争か、いつ終わるかもわからず
爆撃にさらされている村でも
人々はいつもの暮らしを生きている。
そのシュールさに、なんともいえない感覚がこみあげます。
この感覚は
監督の出自に、ものすごく関係しているのでしょう。
映画のすべてが
目が回るほど強烈で
残酷で、絵画的で、しかしファンタジーなどではない。
すべてが現実への
痛烈な訓戒だと感じる、そこがすごい。
もっとストーリーのない話かな、と思ったけど
いやいや、そんなことはなく
すごくしっかりした
ラブストーリーでもありました。
ムリクリ見て、頭をかしげるようなものでもなく
見て、感じるものはみな同じだと思う。
監督が持つ
自然、土、そこに生きる動物たちへの畏敬を感じ
すべてとガチで触れ合って生きてきた感も
ありありとわかる……んですが
ゆえにギョッとするシーンもある。
最後の「動物一匹も殺してません」のクレジットに
「ホントかよ……」と思わず疑ってしまうほどですが(苦笑)
まあホントなんでしょう。
★9/15(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
「オン・ザ・ミルキー・ロード」公式サイト