町を眺めた時、時代の波に飲み込まれて消えた場所にすぐに気が付きます。それは僕たちの「台所」だった「市場」です。
ここは阪急電車・豊中駅の駅前目抜き通りにある「阪急豊中市場」です。阪急豊中市場は昭和5年の開設以来、近隣住民の台所として長きに渡って親しまれました。写真は昭和53年(1978年)の解体前の様子です。
そしてこちらは同年の解体後の写真です。歴史を刻んだ町並みであっても、いつも瞬時に解体されて消え去ってしまいます。何年も生きていれば、こういう光景を何度も目にして来ました。あの頃、豊中駅から、例えば「豊中高校」や、その近所にあった短大に通っていた人たちなら、豊中市場を懐かしく思えるでしょう。
正面に見える大きな建物は、新開地デパートして栄えていた頃の「新開地ビル」です。
現在の同じ場所は「豊中チェリオビル」となっています。この角度では見えませんが、屋根に大きなチェリオの看板があるビルです。
この商店街の通りも、昔は自転車の不法駐車で溢れていましたが、今はほとんど見ることがありません。自動車の不法駐車もです。綺麗な場所にはゴミを捨てにくいの同じように、いろんな駅で再開発が進み、駅前はあちこちで綺麗になっています。しかし、それと同時に人の流れが変わり、かつての賑やかさが消えてしまっているのは予想外なことであり、町にとっては非常に残念な結果です。
町のお店が1つ消えると同時に、ネット通販が賑わい、買い物を楽しむ場所が益々減って行きます。