アメリカ人とスポーツには、密接な関係があります。
“Whoever wants to know the heart and mind of America had better learn baseball, the rules and realities of the game – and do it by watching first some high school or small-town teams.”
これは歴史学者、ジャック・バーザンの言葉です。「アメリカ人の心を知りたかったら、野球を知ると良い。このゲームのルールや現実味を。それも高校野球か草野球から見始めるべきだ。」
バーザンがこう言ったのは、1954年のこと。野球がアメリカの娯楽の象徴だった時代です。今では娯楽の象徴は、アメリカンフットボール!2011年の世論調査の結果を見ると、アメフトが1番好きだと答えた人は、31%。2位はバスケットボールで17%。野球は3位で16%でした。アメリカの娯楽と言われた野球の人気は、アメフトに水をあけられました。
思えば日本でも、僕が子どもの頃は野球中継がテレビで観ることのできない日は、チームの移動日くらいのもので、毎日のように読売テレビ(日本テレビ系)は巨人の試合を放送していたし、サンテレビ(神戸ローカル)では、阪神タイガースの試合を開始から終了まで完全中継していました。現在のようにドーム球場などがない時代でしたから、雨天中止も結構ありました。
野球中継のおかげで、見たい番組が1週休みになる、もしくは時間を変えて放送されるということもありましたし、逆に野球が雨天中止になった場合にのみ、めったに見ることができない映画が予定されていることもあり、野球放送を巡るテレビ放送にも泣き笑いがありました。(笑)野球ファンも、延長戦に入り、テレビ中継が放送時間の関係で終わるとラジオに向かったり、逆に視聴率が取れるとなると、ニュースステーションでさえ繰り下げて、野球中継を延長することもありました。
野球は日本でも娯楽の中心にありました。特に大阪には球団が阪神・阪急・南海・近鉄と多かったので、身近にも感じたものです。高校野球、甲子園大会もありますから。今はいろんなスポーツの放送がされるようになり、また衛星放送の普及で、全体では沢山のカードの試聴が可能になったのかも知れませんが、テレビをつけたらジャイアンツの試合がやっているということは無くなりました。
バーザンの言葉が、決して大げさではない事は、野球のリトル・リーグの「誓いの言葉」を見ても分かります。
“I trust in God. I love my country and will respect its laws. I will play fair and strive to win. But win or lose, I will always do my best.”
「私は神を信じます。私は祖国を愛します。そしてその法律を尊重します。私は正々堂々とプレーします。そして勝つために努力します。しかし勝敗に関係なく、最善を尽くします。」
日本では、子供がこんなことを言いません。良いか悪いかは別として、アメリカでは子供の頃から「祖国」というものについて、意識するような教育が行われているということです。学校の教室には、国旗が掲げられています。