人が自由に発言出来ることは、民主主義国家における美徳です。
しかし、昨今「この権利の在り方」が曲げられていないだろうか?週刊誌を始めとするマスコミが部数を増やして利益を上げる為に、芸能人や公人が罪に問われない行動をしていても報道する。自分の利益の為に、他人のプライバシーを侵害し苦痛を与えています。時には捏造した材料を使っていることさえあります。
更に誰もがSNSで自由に発信出来るようになり、かつその道具であるスマホにはカメラ機能も搭載されているため、スマホ所持者がもれなくチャンスさえあれば、週刊誌記者に早変わりしてしまう。ある事件において報道されていない容疑者についてのことが、容疑者が犯人だと確定する前にネットを検索すれば、容疑者のプライバシー&個人情報が晒されている。
1部とは言え多数の人が、常に攻撃相手と言うか、ストレス解消の為の「生贄」を求めている社会が、今の日本のような気がしてなりません。
亡くなった安倍元首相が活躍している際は、ネット上の匿名性をいいことに、彼に対して多くの人が誹謗中傷を繰り広げた。中には政策に反対を唱えるという範疇を超えていたものがありました。しかし、それは安倍元首相がそれだけ動いたからこそ、賛否両論があったのであり、政治家としての活動の証であったとも言えます。しかし、首相として活躍している時も、その座を退いた後も、いろいろとネット上で書かれていました。
安倍元首相の事件現場で立っていた方と、写真のトランプ氏の横に立っている方が同じように見える人はいないと思います。いろんな国の要人警護の現場写真を見てもそう。何かが起きることを前提に心して警護する者と、大丈夫だろうと思って警護するのとは違うし、何が起きるかの想定も日本と海外とでは違います。海外では銃器によるテロを前提にした警護ですが、日本では刃物によるテロを想定しています。今回の痛ましいテロでも、「なぜ安倍元首相に覆いかぶさらなかったのか?」という書き込みを多く見ますが、警護の基本は要人を逃がす事。覆いかぶさり動きを止めてしまっては、第二第三の刺客がいた時に、相手の思う壺です。素人はあれこれヒステリックに言うより、今は静かにご冥福をお祈りする時だと思います。
凶弾に倒れ、安倍元首相がお亡くなりになった今は、今度は安倍元首相を警護していた警察関係者への「攻撃」が始まっています。僕は1部の人々が繰り広げるSPへのネット上の書き込みに怒りを覚えます。
なぜ、動かなかったのか?なぜ首相の盾にならなかったのか?
彼らは警察官であり、つまり公務員です。映画の中のボディガードのように高報酬を貰っている人間ではありません。安定はしているかも知れませんが、民間企業でそこそこのポジションにいる方に比べて、遥かに安い給料で働いています。その割には私生活から勤務中まで、高いモラルを求められ、その職に就くまでも、就いてからも、厳しい訓練をこなしている人々です。
つまり、公務員とはそもそも人が嫌がることを、我々を代表して行っている職業です。役所などの窓口で働く人であってもそうです。警官や消防士、自衛官などは更に危険を伴います。何かあれば感謝の念を持たれるよりも、「公務員は安定していいね」「誰のおかげで食えてるんだ!」と、やっかまれたり暴言を吐かれることが多い職業です。
今回の安倍元首相を守れなかった人々に、「お前が代わりに4ぬべきだった」と言っているも同然の人が世の中に多過ぎないか?SPたちに公務員の薄給で命を投げ出せと誰が言えるだろう?僕はこの機会に警護の在り方だけではなく、警護に就く人々の報酬を見直して欲しいと考えます。誰もが背を向ける方向に飛び込んでいく職業に対する報酬が低過ぎると思います。日本人は責任感がそもそも強い。SPを務めている人というのは、そもそも能力が高い。そういう人達が能力を惜しみなく発揮するためには、報酬を見直すこと。
そして、身を守るための装備、武器の使用に対しても再考すべきです。アメリカで今回と同じ事件が起きていれば、安倍元首相が命を落とす前に、SPが犯人を射殺していた可能性が高いと考えられています。そもそも警備体制も違ったでしょう。よくも悪くも、日本はテロという行為に対して、考えが甘すぎるように思います。だから、ストーカー殺人も頻発します。
何十年もの間、給料が上がらない。円安により経済や生活が苦しい。新型コロナウイルスによって、多くの制限がかけられている。誰もがいろいろな不満を感じているでしょう。しかし、それは自分だけが苦しいのではない。その苦しさと誰もが向き合っています。その中において、他人の権利を奪ったり侵害したり、攻撃することで憂さを晴らしたり、お金を得るという行為は、人間として恥であると心得、厳に慎むべきです。今こそ、人に「人間教育」が必要な時代が来ていると思います。
最後に・・昨日は1日中テロの報道が行われていましたが、その中の某放送局の解説員という方が、犯人は2発目で安倍元首相を「仕留めた」という表現を使われていました。一体何様なのか?マスコミの一員として、記事を書いたり、人前や公共の電波で話す人は、普通の人より偉くも無ければ特権階級の人間でもないことを肝に銘じるべきです。