1963.1~63.6年発表の16編を収容。732頁。
60年に直木賞を受賞した筆者が、勢いにまかせて次々と世に出した短編傑作集。半年間にこれだけの量を連続して発表するというのはすごいことだと思う。
次の16編が収められている。
①奇妙なり八郎・・(幕末暗殺史1)
②伊賀者
③鴨川銭取橋・・・(新選組血風録5)
④花屋町の襲撃・・(幕末暗殺史2)
⑤猿ケ辻の血闘・・(幕末暗殺史3)
⑥虎徹・・・・・・(新選組血風録6)
⑦割って、城を
⑧土佐の夜雨・・・(幕末暗殺史4)
⑨前髪の惣三郎・・(新選組血風録7)
⑩砥園唯子・・・・(幕末暗殺史5)
⑪胡沙笛を吹く武士(新選組血風録8)
⑫上総の剣客
⑬妬の湯・・・・・(幕末暗殺史6)
⑭軍師二人
⑮三条磧乱刃伽・・(新選組血風録9)
⑯千葉周作
連作「幕末暗殺史」は、勤王攘夷を標榜する幕末の志士たちが、あれこれを理由に各界の要人を暗殺して行くあり様を描く。
時代の趨勢とは言え、自らの主義主張のため命を奪うという方法で政敵を闇に葬り去ることに共感は出来ない。
連作「新選組血風録」は、要は、新選組隊内の風紀と結束を維持するため、若干でも動揺したり通敵した組員を容赦なく惨殺した粛清史である。
本書全体を通して話に勢いを感じるものの、こうも暗殺話ばかりでは滅入ってしまうのも事実。お勧めしたい短編集ではない。