2016年上半期第155回直木賞受賞作。
「小説すばる」等2012~15年掲載、短編6話、234頁。
しみじみとした物語にどっぷりと浸りながら心地良く読んだ。
どの物語にも、小生らと同じ庶民がそれぞれの人生を精一杯生きた証しが刻まれている。
それは平凡だが、決して他人にはとって代わることの出来ない物語だ。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)
選者評:伊集院静氏
「すべての候補作を読んで、作品の世界、文章が一番安定していた。荻原さんのおだやかな語り口は才覚と言うより、途絶えることなく書き続けた作家だけが手にする鍛錬がなした技量だと思う。おだやかでいて鋭い。まさにプロの文体である。再投票で選考委員満票の受賞であった。」