弥生三月、やっと日ざしの中に春の兆しを感じるようになりました。
桃の節句、今あちこちでお雛様が飾られています。
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旧家の奥座敷に並んだ屏風と雛飾り。
ここのお雛様は、段飾りではなく横広がりに並べられています。
一対の屏風には、「砂浜で花見をする貴族」が描かれているようです。
ふだん見かける金屏風ではないのも珍しいですね。
左隣には、普通に飾られた親王様、三人官女と五人囃子など。
床の間を背に並んだたくさんのお雛様。
奥座敷を飾るお雛様と屏風。
横に並べられたお雛様は、段飾りとはまた違う風情がありました。
このお雛様が並んでいる旧家とは、常滑にある廻船問屋の瀧田家。
瀧田家は江戸時代から明治にかけて廻船問屋として常滑を代表する家で、尾張、伊勢、美濃、三河
と江戸や上方方面までの廻船問屋を生業としていたようですが、のちに始めた木綿問屋の成功とともに
明治中期にはこの廻船問屋から撤退していったということです。
ここが裏の入口で、今回はこの入口からおじゃましました。
広い土間と帳場。
商売をするお店にふさわしく、奥には招き猫の姿が、、、
帳場から見える奥座敷と雛飾り。
奥座敷の南側の縁側の軒下には、水琴窟があり、甕に落ちる水音を聞けるように長い竹ざおが
置かれていました。
奥座敷の裏側には納戸があり、寝室として使われていたようで、長持や箪笥が置かれていました。
二階にはこの箱階段を登って~~~
二階に通じる階段の天井は、閉めれば廊下になるようです。
珍しい作りです。
庭にはなまこ壁のお蔵が、、、、
中にはいろいろ展示されていましたが、これはいかにも重そうでがっちりと作られた木製の銭箱。
母屋の台所の土間には、壁沿いに並んだ竈と一緒に、この屋の持ち船だった船の旗が並んでいました。
きっとこの常滑焼の焼き物も、こうした廻船問屋の船で大海原を渡って行ったのでしょう。
なおこの廻船問屋の瀧田家は、現在は常滑市指定有形文化財の大型民家の建築物として市が復元工事を
行い平成12年に完成し、同年4月に市の文化財に指定されています。