3月19日(土)、第39回ミーティングを行いました。
この日の参加者は23名。東日本大震災の被災者の方々への黙祷のあと、ゲストスピーカーとしてお迎えしたNPO法人SEAN事務局長の遠矢家永子さんのお話を伺いました。
SEANは1997年、保育サポートグループとして結成、現在は保育・家事支援をはじめ、子どもへの出前授業や教材発行など、さまざまな事業を展開しておられます。今回はそれらの事業の中からSEAプログラム(多様な生き方を尊重できる力を育み、自尊感情を高めることを目的とした人権教育プログラム)についてお話していただきました。これからの社会を担っていく子どもたちに多様な性を伝えていきたいと願う私たちにとって、とても興味深い内容でした。
このプログラムは、セクシュアルライツ(「生」と「性」の人権)としての性教育とのこと。このような教育がどうして学校でなされていないのか、不思議になるくらい大切なお話でした。みなさんからいただいたアンケートにも「このようなことを学んでおきたかった」「子どもたちに是非聞かせたいお話」という声がたくさんありました。すべてをお伝えしたいのですが、ここでは私が学ばせていただいたことの中から2点をご紹介します。
まず「人権アレルギー」ということ。私たちが人権を学んだ時、「他人の人権を侵害してはならない」という加害者の立場で学びはしなかっただろうか?「私」に人権がある、ということを果たして教えられただろうか?そのような教育の結果「人権問題」というと「自分が何か責められるのではないか・・」「自分は何もしていない・・」「自分とは関係のない数少ない人たちの問題だ・・」という拒否反応が起きるのではないか、と。なるほど、私も子どもからカミングアウトを受けていなかったら、今でも「人権問題」はどこか他人事だったのかもしれない・・と思います。わが子の人権が侵害されているということを知って初めて「人権問題」が他人事ではなくなる。ほんとうに愚かなことだったと思います。
そしてもう一つ、「人権は分断されている」ということ。以前ある障害者の方が「障害者差別防止法」の必要性を訴えておられました。LGBTについても「LGBT差別防止法」が必要だと聞いたことがあります。「差別防止法」「外国人差別防止法」「女性差別防止法」・・と、この社会にはいくつの差別防止法を作らなければならないのかな・・と感じたことがあります。どんな人間も差別されてはならないのに、まさに一つ一つが分断され、そこに属さない人たちにとってはそれぞれが他人事となる・・その通りだと思いました。人権が「一人一人がかけがえのない存在である」ということを意味し、自分自身の問題だとみんなが気付いた時、マイノリティは多数派となる、と。このような社会が待ち遠しいですね。気付いた人が行動を起こしていこうと、遠矢さんは締めくくっておられました。
最後に遠矢さんのレジュメの中からも2つの項目をご紹介します。
■人権としての性教育
・私の大切なありのままの「こころ」と「からだ」、あなたの大切なありのままの「こころ」と「からだ」
・大切な「こころ」と「からだ」は私自身のもの
・心地よい状態・不快な状態をしっかり感じられる力を育む
・プライベートゾーンは誰にも見せない、触らせない
・性器の名称を知らなければ、性暴力にあっても被害は訴えられない
・「豊かでステキなこと」というイメージで、「性」を子どもたちに伝えよう
■子どもの人権と大人の人権
ます大人自身が正しい知識を持ち、子どもから見た「強者」としての自覚を持ち責任力を高める。
子どもの育ちに保障すべき5つの権利
① 存在意義を認められること
② 知る権利
③ 考える権利
④ 選ぶ権利
⑤ 結果を引き受ける権利
親として、大人として、人間として、できていなかったこと、ほんとうにたくさんあります。子どもへの出前授業、親にも是非お願いしたいです。多くのことを学ばせていただいたミーティングでした。
つなぐ会を通してこれまでに知り合えたお母さまや当事者の方々の中には、東北地方にお住まいの方も何人かおられました。先日あるお母さまとやっと電話が通じ、お元気な声を聞くことができてほんとうにうれしかったです。他のみなさんもどうかご無事でおられますように、また一日も早い復興をお祈りしつつ、この日のミーティング参加費を『東日本大震災兵庫県義捐金』に送らせていただきました。参加者のみなさん、ご賛同いただきありがとうございました。