ティンブクトゥ | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
このところ、連続して読んでいるポール・オースターです。
犬が主人公であるこの小説、“ティンブクトゥ”は、主人公である
ミスター・ボーンズの飼い主いかれた詩人のウィリーが語るこの世の果て、
来世のある場所(はてしもなく遠いアフリカの都市)。
主人公ではあるし、視点はボーンズのものではあるのだけど、ボーンズの
見ていない人間たちの様子も語られるので“動物物語”ではありません。
最初の飼い主ウィリーは大学のときに“精神病院”に入れられて以降、
働かない日々、そしてその末にホームレスのようになってある人が
いる街をボーンズと目指します。この関係が対等であったために
ボーンズは人間の言葉を理解するようになったという設定。
人間と犬の物語が交差して…。
同情でもなく、共感でもなく。ふーと息を吐きながら本を閉じました。
価値観っていろいろさ。
ポールオースターって深いわ。