Rock Bottom (Live)
スコーピオンズを抜けて、マイケルが加入したのが、イギリスのバンド、UFOだ。
そして、加入して最初のアルバム「現象」に収録されていたのがこの曲「ロック・ボトム」。10代の少年が作ったとは思えない素晴らしいギター・ソロが展開されている。ギターの才能に年齢は関係ないのだろう。
私は個人的にはハード・ロック史上、最高のギター・ソロであり、マイケルにとっても人生最高のギター・ソロだと思っている。ここにアップしたライブよりスタジオ盤の方がかっこいいのだが、2年半ほど前にスタジオ盤をブログに載せているので、今回はライブにした。ライブ特有のお遊び的なところがおもしろいかもしれない。この曲におけるマイケルはまさに「ギター・ヒーロー!」だ。若くして、すでに当時ギター・ヒーローの頂点にあったリッチー・ブラックモアに匹敵する存在感があった。
しかしながら、1970年代の中盤当時、マイケルのギター・ヒーローとしての名声は、ここ日本ではそんなに広まってはいなかった。
原因はUFOの人気が中途半端であったことがまず大きい。UFOはそこそこの人気をもつB級ハード・ロック・バンドとして扱われていた。当時、ロック・ジャーナリズムはパンク一色で、ハード・ロックは「オールド・ウエイブ」とバカにされていた時代背景も辛かった。アルバム「現象」は一部のハード・ロック・マニアの間では評判になったが、それほど売れていなかったし、ラジオでもかからなかった。つまり名曲「ロック・ボトム」を多くの洋楽ファンは知らなかったのである。
かく言う私も、UFOに加入した若いギタリストがむちゃくちゃかっこいいギターを弾くという知識はあったのだが、実際「ロック・ボトム」を耳にしたのは、発表されてから2年後の高校1年の時だった。バンド・サークルの先輩が演奏していたのを見て知った次第である。ちゃんと本人の演奏を聴いた時はぶっ飛んだ。
そして、UFOというバンドは、ハード・ロック・バンドと言っても、ポップ・ハード・ロックがメインのバンドである。マイケルがギター・ヒーローとしてすごく目立つ曲は「ロック・ボトム」と「ライツ・アウト」だけなのである。他の曲では、マイケルの作曲能力の高さやメロディ・センス、ギターの上手さを感じることはできるが、突き抜けるかっこよさがある曲はその2曲だけなのだ。
ufo-lights out
もちろん「ドクター・ドクター」や「Too Hot to Handle 」など名曲ではあるが、鬼気迫る演奏をするギター・ヒーローという感じではない。
UFO - Doctor, Doctor (early live Schenker)
UFO - Too Hot to Handle
ということで、UFOでのマイケルは才能を開花させたものの、今一つそのかっこよさを出し切れずに終わってしまう。
しかし、次のバンド、マイケル・シェンカー・グループでスーパー・ギタリストとしての全貌を現し、世界中のハード・ロック・ファンを熱狂させることになる。特に日本では特別の存在となるのだ。次回をお楽しみに。