ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

カルメン・マキ&OZ の魅力 「六月の詩」1975年

2022-12-03 06:29:10 | 日本のロック70年代
Carmen Maki & Oz ► 六月の詩 Rokugatsu No Uta [HQ Audio] 1975

カルメン・マキ71才、ギタリスト春日博文68才、いまだに現役。
そして、カルメン・マキ&OZ 未だ続行中。
私の大好きなバンドである。このバンドについて何回かに分けてその魅力を考えてみたい。

日本のロックがいつ始まったか、そして、いつから盛り上がったのか?これは、70年代から、いろいろジャーナリズムで取り上げられた題材である。
いろんな意見があり、ここでは深入りしない。

個人的にはやはり日本のロックの草創期の2大傑作はアルバム「カルメン・マキ&OZ」のファーストアルバム、四人囃子のファーストアルバム「一触即発」である。
当時、日本語でロックをやることに抵抗があった時代において、あえて日本語で取り組み、そして、ロックの持つうねりのようなエネルギーを放ったこの2作は私にとって、全く次元の違う音楽だった。
当時、日本語のロックはほかにもあったが、演奏のダイナミックさではこの2大バンドほど心に響かなかった。スケールが違った。中高生時代、私と私のバンド仲間の何人かは、この二つのバンドにどっぷりはまってしまったのだ。

さて、カルメン・マキである。アラ還である私にとっては、小学生のころからのなじみの歌手である。彼女は1969年に17歳にして「時には母のない子のように」で、ビッグ・ヒットを飛ばし、当時、もの心がついていた日本人なら、誰でも知っている歌手であった。一般大衆には一発屋の歌手みたいなイメージを持たれているかもしれない。ところが、彼女は一般大衆が好む音楽(当時の歌謡曲。テレビの歌番組に出る音楽。)の枠から飛び出していった。

彼女は、あのジャニス・ジョプリンに刺激を受け、紆余曲折の上、日本語のロック・バンド、カルメン・マキ&OZを結成した。
主要メンバーであったギターの春日博文は結成当時は18才だったという。そして、1974年に「午前一時のスケッチ」でシングルデビュー、1975年1月に名作「カルメン・マキ&OZ」でアルバム・デビューする。

話はそれるが、1977年にOZが解散したあと、「カルメン・マキ&LAFF」「5X」というカルメン・マキを主体としたバンドが結成されたが、しっくりこなかった。やはり、曲の出来が全然違った。
日本語の歌詞、劇的なアレンジ、情念のある演奏などにより、すべて「カルメン・マキ&OZ」が上回っているというか、数段高いレベルにあった。カルメン・マキがいれば、すごいものが生まれるというものでもなかったと思う。
あのメンバー、あのプロジェクトだから、達成された奇跡のサウンドだったのだ。ちなみに、OZ結成前にやっていたブルース・クリエイションとのコラボもマジックは感じられなかった。
未だにOZのライブをやると熱狂的な支持を受けるのは理由があると言えよう。

さて、ファースト・アルバムの記念すべき1曲目「六月の詩」をまず取り上げたい。
この曲の最初の部分はピアノの伴奏だけであり静かに始まる。当時、日本の音楽シーンで大きな立ち位置を占めていた「フォーク・ソング」の雰囲気がある。ところが、メロディがサビの部分に入ってくると、ヘヴィなロック・サウンドが押し寄せてくるのだ。そして、「ドス」の効いたカルメン・マキのパワフルの歌唱が圧倒的なパワーを放つ。これは・・・まさにロックだった。まだ曖昧だった「日本語のロック」が見事な存在感、ダイナミックな質感をもってここに降臨した。欧米のロックとは違った湿った日本人の情念を表現する強烈なロック精神の提示がそこにあった。
春日博文のギターはテクニシャンとは言えないけど、実に細やかな表現ができる人で、日本人的なメロディ、リズム感、音色を素晴らしいセンスで、構築した。そしてパワーがあった。彼がいなかったら、OZのサウンドはここまでの完成度にならなかったような気がする。

この曲はアレンジ面ではブレイクするようなリフを多用して、ロックの豪快さを表現しようとしており、その狙いは成功している。
今聴くと、普通のアレンジに聴こえるかもしれないが、当時の日本のバンドで、こんな演奏をしているバンドはなかったと記憶している。
先駆者としての彼らの試行錯誤を感じられる編曲だった。
そして、静と動の対比による印象の強さ。それも曲の魅力を引き上げていて、その魅力にとらわれたものを離さない。

8分を超える曲ではあるが、私は全然長いと思わない。
ドラマティックな構成とマキの歌唱力があまりにも素晴らしいからだ。
ファースト・アルバムの1曲目として、名刺代わりの曲として、見事なパワーを見せつけてくれた名曲だと思うのである。

ドラムにかけたフェイザーや分厚いコーラス、メロトロンの活用など、いろんな要素もこの曲を非凡なものにしている。



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7 コメント

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Unknown (blackmore1207)
2022-12-03 21:11:07
こんばんは。
「時には母のない子のように」のヒット曲で知られるカルメン・マキが春日博文らと結成したロックバンドの1stアルバムが印象的でしたね。
ジャニス・ジョプリンに影響された入魂のヴォーカルは、ハード・ロック/プログレ的なドラマティックな音で、日本初の本格的な女性ロックヴォーカルのアルバムとして定評のある作品だと思います。
「午前1時のスケッチ」「私は風」など名曲がズラリ入った1枚でした。
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Unknown (サイコ…chicken)
2022-12-06 12:45:57
うわ~、みゅう様。寒くなってきましたね。今日は今年一番の寒気がやって来ましたよ~。こんなとき、暖かい部屋でみゅう様のロック記事に夢中になっている私。ホンマに、ご隠居生活は…幸せダワナ~-w-w。…寒さの中…着ぶくれしたコートの衿を立ててギュウギュウ詰通勤とか…慢性渋滞にイライラ運転してたのは…もう遥か昔の事の様であります😉。『きょねんの~なつの…ままに~🎶』『あ~もうなみだなんて~🎶』とか、当時17歳の青っぽさ残る青年chickenでしたが、お白粉や酒くさい吐息が漂っている空間で…ホンキートンク調な、熟れた大人の女…ブルースの呟きが…『昨日酒場で見た女』が一番好きでしたよ~👍
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Unknown (サイコ…chicken)
2022-12-10 14:44:44
みゅう様。ご多忙でありますか?。いやね…多忙であれば悦ばしい限りですが…もしや、体調とか崩されておられないかと心配です。スミマセン💦…おせっかいで。どうかピンク・フロイドに免じて赦してね🍀。マキオズで当時感じたのは、洋ロックのレコードに挟まってかけて聴いてもあまり違和感なかった…って事です。カルメン・マキの発声・声量・feelingが他より抜きん出ていたからかしら?…どちらかといえばジャニスは金子まりで、カルメン・マキはマギー・ベルかな?…でも地声がきれいだから歌謡フォークを歌ってもgoo!…独特の世界観がありますよね。
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Unknown (slayer)
2022-12-11 10:22:16
初めてマキOZ聴いた時、このカルメン・マキはあのカルメン・マキなのかと?「母のない子」のフォーク・寺山修司のイメージ、しかも日本語、どう受け入れればよいのか少し戸惑いました。カルメン・マキのVは、ジャニス云々で言えば麻生レミの方が上でしょう。ただ、表現力はカルメン・マキが勝っていた。表現力はフォーク寺山時代に磨かれたのでしょう。あれから約50年、今でもこうして取り上げられるのは、その表現力はもとより、楽曲の良さ、そして何よりカルメン・マキ バンドではなくてカルメン・マキ&OZだったからでしょうね。
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blockmore1207さんへ (ミュウ)
2022-12-11 22:08:42
こんばんは。
コメントありがとうございます。
返事が遅くなり、すみません。
そうなんですよね、OZにはプログレ的な音が入っているというところがいいんですよね。ドラマを感じさせる構成が魅力です。他の曲も順々に取り上げたいと思います。多忙なので、時間がかかりそうですが(笑)。
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サイコ…chickenさんへ (ミュウ)
2022-12-11 22:12:22
こんばんは。
コメントありがとうございます。
多忙だし、実は体調も崩しております。
なかなか、ブログが書けません(涙)。
確かに、マキさんの声、歌唱法は独特で、他に似たい人がいません。まさに孤高の存在ですね。
スーパーフライさんがちょっと似てますけど、深みが違うかな?
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slayerさんへ (ミュウ)
2022-12-11 22:16:47
こんばんは。コメントありがとうございます。
寺山修司の劇団での経験、フォークの経験が表現力に凄みを与えているのでしょうね。
そして、おっしゃる通り、OZというバンドが、ドラマティックなサウンドを作り上げたことも大きいと思います。このバンドだからこそ、化学反応が起こったのでしょう。
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