経済評論家で有名な三橋貴明さんが、最近「菅政権誕生で日本が危ない3つの理由」という書籍を発行し、話題になっている。9月16日に戦後最大の長期政権を長く支えてきた官房長官が「影の総理」から遂に総理大臣となった。当の本人は、アベノミクスを引き継いでいくと堂々と言っているが、果たしてそれで我が国は大丈夫だろうかと警鐘を鳴らしている。
彼によれば、日本のメディアは報道しないが、菅政権には3つの危ない兆候があるという。
(1)緊縮財政/増税による国民の貧困化、さらなるデフレ化
安倍政権の政策を継承すると明言しているということは、史上最悪の経済失速が続く中においてさえ、緊縮財政は続いていくということ。
(2)元ゴールドマン・サックスのアナリストによる「日本崩壊への構造改革」
菅総理の経済政策メニュー、すなわち「インバウンド」「カジノ」「中小企業政策」は、元ゴールドマン・サックスのデービッド・アトキンソンという外国人アナリストの提言の丸パクリである。彼は、グローバリズムの主張を展開し、外国人需要にすがる惨めな成長戦略「インバウンド」を提言。さらに、インバウンドにかこつけ、日本の治安や秩序に壊滅的なダメージを与える「カジノ」を推進。日本では、「カジノ推進」とは言えないため、「IR推進」と呼び変え、さらに中小企業再編という構造改革を声高に叫び、中小企業が淘汰されていくという。彼は国際金融資本の代理人で、日本のグローバル化を推進させるためのスポークスマンにすぎず、日本人のためではなく、自分たちが儲かる得するための構造改革を進めていくだけという。
(3)「国家観」の無い「自己責任論」
菅さんは、官僚の人事権を振りかざし、安倍政権下で農協改革や農業自由化の指揮を執った。国民の食料安全保障をおもんばかり、各種の改革に反対した農水官僚を左遷してきた。国民の食糧安全保障を無視し、ビジネスのために規制緩和して、後は自己責任というのが菅スタイル。それでいいのか、国民を第一に考えるのが国の役割だと警鐘を鳴らす。
そんな危ない3つの兆候があるにも関わらず、日本のメディアは全くと言っていいほど真実を報道していないという。この書籍では、そのへんの真実を解説してくれている。個人的にも、三橋氏の見解には全面的に賛同する。しっかりと新政権の向かう方向をウオッチしないと日本は破滅の道を歩むことになる気がしてならない。